蜘蛛の窖 ページ22
恐る恐る瞳を開けば、辺りは夕暮れ時だった。
なんのへんてつも無い。いつもの夕方の風景。
取り残されたような感覚が私に走る。
「...マキ。カナちゃん...トシエ、アッちゃん!!」
弾かれたように未だぐったりとポールに寄りかかるマキ達に駆け寄る。
少し体を揺すれば、皆一瞬瞼を震わせ薄らと瞳を開いた。
「...アレ?A?」
「大丈夫!!?」
「...え?あれ?何が?」
まるで寝起きのように大きなあくびをして立ち上がったマキは頭をワシワシとかいた。
他の皆も同様。寝ぼけ眼であたりを見回している。
「何でガッコーにいるの?」
「ん?確か...何だっけ?」
「...なんか約束したんだっけ?」
不思議なことに、ポール幽霊対決の事を皆忘れていた。というより、ポール幽霊なんて最初から居なかったかのようだ。
マキ達が首をかしげていれば、耳をつんざくような悲鳴。
これには私も肩を震わせる。マキ達もその悲鳴に寝ぼけ眼を見開いた。
「な、ななんで!!?なんでケータ君が...!!」
「ち、違うんだよ!フミちゃん!!お、鬼がフミちゃんをさ...!!」
...ああ。そうか。天野くんはフミカちゃんを抱き抱えるような体勢だったんだっけ。
悲鳴の理由が分かったところで、フミカちゃんが真っ赤な顔で天野くんのほっぺたをぶっ叩いた。アレは痛い。
「い、意味わかんない!!ケータ君なんか知らない!!」
フミカちゃんは、そのまま全力疾走で走っていってしまった。
「...うう。フミちゃんになんて言えば」
「ドンマイ、ケータ。ありゃ弁明に時間かかるぞ」
「ドンマイですよケータ君!」
「他人事だと思って!!!何とかしてよ!!」
それから。首をかしげながらも帰ってゆくマキ達を見送って校庭に戻ったら天野くんが号泣していた。
フミカちゃんにビンタされたのが余程だったんだろう。
ヘンテコ男とウンさんはそれを宥めていたが、ババァだけは険しい顔つきをしていた。
「ねぇ、バ...天后」
「あぁ?なんだい小娘!!」
「...喋りかけてすみません」
ババァは機嫌が最悪だった。元々凶悪ヅラだが、それが更に凶悪さを増している。
最早顔面兵器に近い。
「お前が未熟なせいで、ドウマに逃げられちまったじゃないか!!!...こうしちゃいらんないよ!緊急会議しなきゃね!」
「あ、待って!!天后!!ドウマって...」
ドウマって何なの?と聞こうとしたところでババァは消えた。
式神ってこうも言う事を聞かないものなのだろうか?
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ぼん(プロフ) - よもぎたん(´ω`*/)さん» こんばんわ!ありがとうございます!お名前変えたんですね^^*もしかして前もコメント下さったよもぎたんさんだったのですか!?←違ったらすみませんッカッパー回やっとこ見れました!俺のことディスってんの?でキュン玉持ってかれてしまいましたよ(*´Д`*)オチツケ (2015年12月2日 2時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - ナッツ@まだ新年じゃないけど頭の中はHappy Newyearさん» こんばんわ^^*ありがとうございますー!そうなんです^^;私自身続くのか!と驚いていまして←妄想小説がここまで続けられるのも皆様のおかげだと思ってます!過去編もよろしくお願いしますm(_ _)m (2015年12月2日 2時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎたん(´ω`*/) - 続編おめでとうございますっ!元ノアです!名前変更しました!(^_^)/これからも頑張って下さいね!あ、あと次のへんじの時にカッパーの回見れたか教えて下さい!! (2015年12月1日 19時) (レス) id: 594dce396d (このIDを非表示/違反報告)
ナッツ@まだ新年じゃないけど頭の中はHappy Newyear - 続編おめでとうございます!このシリーズ長くなりそうですね、part4ができた時コメしそびれました(^^|||それでは過去編頑張ってください!!!(*´∀`)ノシ (2015年12月1日 17時) (レス) id: b77eab5f4a (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - ロキさん» こんにちわ!はじめまして^^*コメントありがとうございます!過去編頑張って更新して参りますのでよろしくお願いしますm(_ _)m (2015年12月1日 17時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぼん | 作成日時:2015年11月7日 1時