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【ノルソル過去編】善良な悪人達の話 ページ29

「ノ、ノルカ……?」

ソルカは目の前のノルカに目を見開いた。
先程まで自分を拘束していた軍人は火傷を負い、激痛に悲鳴を上げながら地面をのたうち回っている。
ノルカの周囲は、まるで灼熱地獄。しかし、ソルカにはそれを微塵も感じさせることは無い。

今まで、妖術の修行などした事が無かった。
座学や、武道の訓練を行ってきたノルカもソルカも自分自身がどの属性の妖術を使えるのかさえ知らずに生きてきたのだ。

それが今ここで、明らかになった。
ソルカの瞳にまるで別人のように映るノルカは、自身の妖気を灼熱の炎へと変えたのだ。

ソルカはハッと我に返ると、ラビィの方へと視線を向ける。
ラビィを拘束していた軍人は、この事態に恐怖し。最早痛みなど感じていないであろうボロボロに焼けただれた顔をノルカに向けては戦意喪失していた。

「ラ、ラビィ!!」

咄嗟にラビィに駆け寄ったソルカは、震えるその小さな体を庇うようにぎゅうっと抱きしめてやる。
ボロボロと大粒の涙をこぼし続けるラビィは、声なき声で泣いていた。

「大丈夫!?怪我はない!?」

ソルカがそう問えば、ラビィは未だにガクガクと震えながらも小さく頷いた。
そこでソルカは気づいたのだ。やはりノルカの妖気の流れはソルカ同様ラビィを避けていることに。

「……ノルカ」

ラビィを抱きしめながら、ノルカに視線を向けたソルカの瞳に揺れたのは…蠢く赤い炎だった。


「ノルカぁ…貴様。自分が何を言ってるのか分かっているのか?」

「ンなもん。わかってるから言ってるに決まってるっしょ」

「……ガッハッハァ!!やはりいい目をするなァ!!実に残念だよノルカ!!……全軍に告ぐ!標的を変更!!全武力を以てこの餓鬼を仕留めろ!!刺し違えてでも息の根を止めるのだ!!!」

オキナの号令に他の軍人は皆ギョッとした。隊長である彼の命令は絶対だが、今この状況下で我先にと動くものは居ない。
現に自分達より力のあるオキナ自身が恐怖に戦いた。その存在を仕留めるなど無謀にも程があると理解しているからだ。

「やれと言っているのが分からんか!!敵前逃亡は隊規違反だ!それを破ったものは、どうなるか……分かっているだろうなァ!!」

オキナの怒号に、全兵がゴクリと生唾を飲み込んだ。
覚悟を決めたのか震える切っ先を向け、一斉にノルカに向かい踏み込んでゆく。

【ノルソル過去編】善良な悪人達の話→←【ノルソル過去編】善良な悪人達の話※グロ注意



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story101(プロフ) - はい!ぼんさんの作品、正座待機でお待ちしております。 (2016年12月25日 22時) (レス) id: 8b873bc734 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - story101さん» こんばんわ!お久しぶりです^^*更新停滞申し訳ございません(><)ふぉお!そう言って頂けると喜びの舞を披露しちゃいますよ!!←怖い有難うございます!これからもよろしくお願いします(。_。*) (2016年12月25日 22時) (レス) id: c56038631b (このIDを非表示/違反報告)
story101(プロフ) - こんばんはまっくろワッサンです。私エンマ大王。特、にぼんさんの作品のエンマ大王の大ファンです。面白いのひと言に尽きるというか (2016年12月25日 21時) (レス) id: 8b873bc734 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ(プロフ) - ぼんさん» いえいえ、それほどでも(照)(((はい!もちろんです!応援してます!! (2016年10月29日 0時) (レス) id: a285e02c29 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - こたつさん» こんばんわ!おおっ!流石こたつさん^^*仕事が早いでウィス・:*+.(( °ω° ))/.:+読み返して下さってありがとうございますー!これからも頑張りますのでよろしくお願いしますm(_ _)m (2016年10月28日 1時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぼん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年6月5日 4時

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