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【ノルソル過去編】善良な悪人達の話 ページ26

老人はすぅっと一息おくと立ち上がり、ノルカとソルカを交互に見やる。

「ラビィ…そして他の子供たちと共に船へ乗れ。操縦の仕方は、ラビィに仕込んである。今すぐ地球へ発ちなさい」

「……は。な、何言ってるっしょ!!爺さん達は」

ノルカがそこまで言ったその時だった。
ドォン!!という爆発音に地面が裂ける。
集落に建てられた粗末な住居はあっという間に吹き飛び、その爆風によって妖兎の皆にも衝撃が走った。

「害虫というものは、人を不快にさせることに長けている。が、ここまでとは……感心せんなぁ」

上がる粉塵から縫うように現れたのは、その巨体に薙刀を携えたオキナ。
そして、そのオキナが率いる多勢の軍人達だった。

「な、あ……」

ノルカとソルカの瞳に揺れる、オキナという存在は。楽しげに笑っていた。

時既に遅し、集落はあっという間に国軍の軍勢に囲まれたのだ。
驚きに声すら上げられない妖兎族達を、オキナは一通り見やった後ですぅっと息を吸い込んだ。

「国に対し謀反を企てた妖兎族に告ぐ!貴様らは一族ぐるみで謀反を起こしたとし、我々国軍は之を我が国に属する者として女帝であるツクヨミ様への冒涜と見なした!よって之より妖兎族殲滅作戦を開始する!貴様らがおかした罪をその身をもって償え!!」

それを合図に、国軍が雄叫びを上げた。
一斉に武器を構え、その矛先を妖兎族の皆へと向ける。

そして一斉に地を蹴った。


舞う粉塵に、耳をつんざくような悲鳴。
その中でノルカとソルカは抵抗を試みる事すら許されず。国軍の軍人によって押さえつけられた。

「お前達は、何の関係もないからなァ。目的はあくまで"妖兎"だ。……にしても、お前達の周りは必ずと言って不幸に見舞われるようだ。流石のワシも気の毒に思うぞ!!」

オキナの笑い声が悲鳴の合間にノルカとソルカの耳に届く。
目の前では、無抵抗な妖兎族が逃げ惑い。狩りを楽しむようにそれを追い詰め無惨に殺していく軍人が笑う様が揺れる。
先程まで彼らの中に流れていた血液が飛沫となって、無機質に舞った。

「やめろよ……やめろって言ってんだろうがァ!!!」

「やめてよ!!こんなの、国の軍人がする事じゃ、ないッ!!」

溢れる涙が視界を歪ます。メキメキと骨が軋むほどの力で押さえつけられ、ノルカとソルカは声を張り上げる事しか出来ない。その声も掠れ、オキナの目には滑稽そのものに見えた。
瞬間。ノルカとソルカは歪んだその視界に映ったものに目を見開く。

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story101(プロフ) - はい!ぼんさんの作品、正座待機でお待ちしております。 (2016年12月25日 22時) (レス) id: 8b873bc734 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - story101さん» こんばんわ!お久しぶりです^^*更新停滞申し訳ございません(><)ふぉお!そう言って頂けると喜びの舞を披露しちゃいますよ!!←怖い有難うございます!これからもよろしくお願いします(。_。*) (2016年12月25日 22時) (レス) id: c56038631b (このIDを非表示/違反報告)
story101(プロフ) - こんばんはまっくろワッサンです。私エンマ大王。特、にぼんさんの作品のエンマ大王の大ファンです。面白いのひと言に尽きるというか (2016年12月25日 21時) (レス) id: 8b873bc734 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ(プロフ) - ぼんさん» いえいえ、それほどでも(照)(((はい!もちろんです!応援してます!! (2016年10月29日 0時) (レス) id: a285e02c29 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - こたつさん» こんばんわ!おおっ!流石こたつさん^^*仕事が早いでウィス・:*+.(( °ω° ))/.:+読み返して下さってありがとうございますー!これからも頑張りますのでよろしくお願いしますm(_ _)m (2016年10月28日 1時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぼん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年6月5日 4時

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