検索窓
今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:23,432 hit

【ノルソル過去編】善良な悪人達の話 ページ24

亡命を企んだ輩を数名…。
ノルカはその言葉で瞬時に全てを理解した。
亡命要請に出掛けた妖兎の者達が連絡を寄越さないのも…。
オキナ達が何故ここに来たのかも。

「その輩共は、このゴミだめに根城を置く妖兎という害虫のような一族でな?侮れない事に、その輩共は技術力に長けていて、宇宙空間でも耐えうる船を作る造船技術をも持ち合わせている」

「……」

「今回捕縛した輩に尋問した所……奴らは密に船を一隻保持しているとの事。……我々としても、脅威になりうる存在と判断した。ノルカ」

名を呼ばれ、ノルカは全身の血が引いていくのが分かった。
先程の比ではない程の脈動に、呼吸すら上手く出来なくなる。

「白い毛に覆われ、頭部には兎の耳。目は真っ赤で、皮膚は透けるように白い…。兎の化け物の様な形をしているのが奴ら妖兎だ。……なァ、ノルカ。知らないか?」

「……ッ!!!」

「ん?どうした?……そんなに怯えて。我らはお前達兄弟をどうこうすると言っているわけではないんだぞ?」

「……ッ知らねぇっしょ!!!ここには俺とソルカしかいねぇ、見ての通りのゴミだめだ!!そんな奴ら見たこともねぇ!」

ノルカは思わず、声を張り上げた。
そんなノルカにオキナはピクリと眉を上げ、そうかァ…とわざとらしい声を上げるのと同時に顎を撫でた。

「となれば……ワシらの見立て違いという事か。ふむ、一度戻って改めて奴らの居場所を突き止め直さねばならぬなァ。……全軍に告ぐ!一度仕切り直しだ!戻るぞ!」

オキナは声を張り上げると、くるりと踵を翻した。それに従うように他の者も踵を翻す。
そのままザッ、ザッ、と灯りとともに遠ざかっていった。
ノルカはしばらく呆然と立ち尽くし、ハッと我に返ると集落の皆に告げるべく地を蹴る。

そんなノルカの姿を、振り返り見つめニヤリと笑うオキナ達に気付く由も無かったのだ。


「俺達じゃ、なかったんだ!!」

ハァハァと息を荒らげ地を蹴り、集落へと向かうノルカの足はガクガクと震えていた。

あのオキナがこうもアッサリと踵を翻すはずが無い。奴らは必ず今夜中に妖兎を壊滅させる気だ。

オキナの質を知りうるノルカは、とにかく集落へと向かう足を早める。

集落では、ソルカの話に皆がどよめいていた。
国軍がこの地にやって来るなど有り得ないに等しいからだ。

「長。何故国軍が…」

「分からん。が、皆は念のため東の廃棄山に避難を。儂はここに残る」

【ノルソル過去編】善良な悪人達の話→←【ノルソル過去編】善良な悪人達の話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (39 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
63人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

story101(プロフ) - はい!ぼんさんの作品、正座待機でお待ちしております。 (2016年12月25日 22時) (レス) id: 8b873bc734 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - story101さん» こんばんわ!お久しぶりです^^*更新停滞申し訳ございません(><)ふぉお!そう言って頂けると喜びの舞を披露しちゃいますよ!!←怖い有難うございます!これからもよろしくお願いします(。_。*) (2016年12月25日 22時) (レス) id: c56038631b (このIDを非表示/違反報告)
story101(プロフ) - こんばんはまっくろワッサンです。私エンマ大王。特、にぼんさんの作品のエンマ大王の大ファンです。面白いのひと言に尽きるというか (2016年12月25日 21時) (レス) id: 8b873bc734 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ(プロフ) - ぼんさん» いえいえ、それほどでも(照)(((はい!もちろんです!応援してます!! (2016年10月29日 0時) (レス) id: a285e02c29 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - こたつさん» こんばんわ!おおっ!流石こたつさん^^*仕事が早いでウィス・:*+.(( °ω° ))/.:+読み返して下さってありがとうございますー!これからも頑張りますのでよろしくお願いしますm(_ _)m (2016年10月28日 1時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ぼん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年6月5日 4時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。