愛がなんだ (ページ7)

今日:6 hit、昨日:15 hit、合計:15,623 hit

会う理由ページ7

　

「良い加減にしなさい！！これじゃぁ河野家に受け入れてもらえないじゃない！！」

母の綺麗な手が私の頬を叩いた
叩かれた頬は熱を集めて痛みを感じていく

手から滑り落ちたのはB判定と書かれた模試の結果

「ごめんなさい…」

「お母さん言ったよね？Aのこと信じてるって」

「私は私なりに頑張ってみた」

「だったら何でこんな結果になるのよ！！A判定じゃなきゃ意味がないじゃない！！どうすんのよ、あんたの受験が失敗して再婚の話がダメになったら！！」

母は私を突き飛ばしお腹を蹴った
　

この日から母は変わっていった
事あるごとに私に暴力を振るうようになったのだ

成績が良くなかったとき
お箸の持ち方が間違っていたとき
食事会でマナーが良くなかったとき
母の機嫌が悪いとき

はじめは何が起こったのか分からなかったし、すごく痛くて怖かった

でも、段々と慣れてきて
必死に耐えるという方法がなんとなく分かってきた

それに母に殴られた日は私の中で決まりが出来たのだ

「もしもし、A？」

「あ、純喜くん？今日勉強教えて欲しいんだけど、時間ある？どうしても分からない問題があって…」

殴られた日は決まって純喜くんに会いに行く
それが私の中での決まり事だった

純喜くんに会うとおかしなくらい痛みや恐怖が和らぐのだ

「あぁ～…ごめん、今友達が家に遊びにきてんねん。明日でもええかな？」

「…明日じゃだめなの。今日じゃなきゃ絶対にだめ。友達が帰った後でもいい。夜になってもいいから会いに行っちゃダメかな？」

「…なんかあったん？A」

「何もないよ。ただどうしてもこの問題が解きたいの」

「そっか。分かった！それなら早く解かんとな！今から家来てもええで！」

「ごめんね、わがまま言って…」

「いいよ、気にせんで。可愛い妹の頼み事なら何でもしますよ！」

「ありがとう、純喜くん」

「うん。気ぃつけて来てな」

私は痛む腕をしっかりとカバーできる服に着替え
適当に勉強道具を鞄に突っ込んだ

正直勉強なんてどうでも良い
本来の目的は純喜くんに会うことだから

　

　