愛がなんだ (ページ3)

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家族ページ3

　

　
「はい、これ着てね」

そう言ってお母さんから手渡されたのは
白いドレスワンピース

「何これ」

「今日紹介したい人がいるからお食事に行くって言ったじゃない。忘れたの？」

「忘れてないけど…これ着なきゃいけないようなお店なの？」

「もう、そんなのいいから早く支度して。待たせちゃ悪いじゃない」

「分かった」

カーテンで簡易的に仕切られた私の個人スペースで服を着替える

明らかにいつもと手触りが違う質感に戸惑いながら
ドレスワンピースに袖を通した

きっと今日は母の再婚相手に会うのだろう

カーテンの向こうから母の鼻唄が聞こえてきて
推測が確信に変わった

「あら、似合うじゃない。Aはやっぱりお母さん似ね。華やかなお洋服がぴったり」

「そうかな？」

「そうよ。これからは自分に似合うものだけ身につければいいの。元々私たちはこんなボロアパートに住んで安物のお洋服を着るような存在じゃない」

「…相手の人、お金持ちなの？」

「ふふふ、それは会ってからのお楽しみ。Aもきっと気に入ってくれると思うわ」

慣れないヒールを履いて向かった先は
ピアノの生演奏を堪能できる高級レストラン

相手の方がお金持ちなのは確定だ

私たちには場違いなのでは？と不安に思ったが、
母が思ったより堂々としていて心強かった

個室に入り席に着くと
目の前の空席が目に入った

「ねぇ、どうして2席空いてるの？」

「ふふっ、サプライズよ」

楽しそうに笑う母に嫌な予感がしたのと同時に
扉を叩く音が部屋に響いた

ｺﾝｺﾝｯ

「すまん、待ったか？」

部屋に入ってきたのは
意外にも清潔感のある俳優のように顔の整ったおじさん

失礼ながら驚いた
なぜなら、母はお金に目が眩んで見た目に気を遣っていないような金持ちと再婚するんだと思っていたからだ

それに驚いたことがもう一つ
おじさんの後ろにもう1人私と歳の近い男の人が立っていたからだ

これが母の言うサプライズなのか

「私たちも今着いたばかりよ、気にしないで」

「それならえぇわ。あぁ、そうや。こいつが俺の息子の純喜。会うのは初めてだったよな？」

「はじめまして、河野純喜です！よろしくお願いします！」

「あら、悟さんに似てイケメンね。よろしくね、純喜くん」

「イケメンなんてそんな！ありがとうございます！」

まさか息子が居るなんて
ありえないサプライズに私は思わず眩暈がした

　