愛がなんだ (ページ15)

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約束ページ15

「A、今日一緒に帰ろう」

そう声をかけてくれたのは
入学式で隣同士になって仲良くなった拓実だ

拓実はクラスの人気者で
いつもたくさんの友達に囲まれていた

本人自体は騒ぐような性格ではないし、
どちらかと言うと人見知りだと言っていたが
拓実の周りはいつも明るくて、笑顔で溢れている

きっと拓実の人柄の良さだろう

そんな人気者の拓実だが、
友達が少なく湿っぽい私にも気軽に接してくれた
拓実曰く、私が高校に入って初めてできた友達らしい

「…って聞いてる？」

「あっ、ごめん。今日先約があって…一緒に帰れないんだよね」

「そうなん？えー、せっかくの部活休みだったのに」

「今度一緒に帰ろ？あ、来週委員会の活動で放課後残るからその時とかは？」

「よっしゃ、約束な」

「うん。約束」

「じゃあ俺は景瑚くんとでも帰ろうかな〜。あ、先約ってもしかして兄ちゃん？今日外の部活動はみんな休みだからサッカー部も休みやろ？」

景瑚くんというのは拓実の幼馴染で、一つ上の先輩だ
純喜くんと同じサッカー部に所属している

「あ…サッカー部っていうのは合ってるんだけど…」

そう話したと同時に教室のドア付近から私の名前を呼ぶ声がした

「A」

「あ、瑠姫くん」

「ごめん、遅くなった」

「わざわざ迎えに来なくても大丈夫だったのに」

「だって、入り口で待ち合わせたら目立つじゃん」

「瑠姫くんが1年の教室に来る方が目立っちゃうよ」

「…先約って白岩先輩？」

「あ、うん。純喜くんの友達で私も良くしてもらってるの」

「…そうなんや」

「その子誰？」

瑠姫くんが警戒したように拓実くんを見た

「瑠姫くんも前に見たことあると思うよ。入学式で隣だった子。友達になったの」

「あぁ～なんとなく。はじめまして、白岩瑠姫です」

「…あっ、はじめまして。川西拓実です」

「いつもAがお世話になってます」

「いえ、こちらこそ…」

そんなやり取りをしている2人を見ると
なんだか関係性がよく分からなくて不思議な気持ちになった

「じゃあ、またね拓実」

「ん、また明日な。あ、来週の約束絶対忘れんとってな」

そう言って拓実は走って教室を出て行った
　
　