愛がなんだ (ページ12)

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同じ家ページ12

　
　
「「「A、合格おめでとう〜！」」」

オレンジジュースの入ったグラスに
みんなのグラスがぶつかり音を出した

「Aならきっと合格できるって、お母さん信じてたよ。ほんと良かったわ」

お母さんは私を信じていたわけじゃない
お母さんは私を支配していただけだ

でも、それを口にして
お祝いムードをぶち壊す勇気など私にはない

「…ありがとう、お母さん」

「あの高校に入れるなんて大したもんやで！さすが俺の娘やな！A！」

「おじさんも、色々ありがとう」

「父さん！Aに渡すもんあるんやろ？はやくはやく！」

「お、そうやった。はい、これ！合格祝い」

そう言って渡されたのは何かの鍵だった

「鍵？」

「そう！この家の鍵や」

「この家の鍵？」

「これから百合さんもAもこの家で一緒に暮らすんや。もちろん、Aの1人部屋も用意したで！」

私は豪華な料理が並んだ食卓
それを照らすキラキラした照明

向こうに見える大きなテレビ、ふかふかなソファ

ぐるっと一周見渡して息を呑んだ

「ここで暮らしてもいいの？」

「あぁ。最初からAが合格したら一緒に暮らそうって百合さんには話してたんや。そのタイミングで籍も入れるつもりでいたからさっそく明日手続きしに行こうと思ってる」

「ほんまにAと兄妹になるやなぁ」

「良かったな、純喜！お前ひとりっ子寂しいってずっと言ってたもんな笑」

「めっちゃ嬉しい！それに、妹になるのがAでよかった！」

「ふふふ、2人が仲良しでお母さんも嬉しい。純喜くん、これからは本当のお母さんと思ってたくさん頼って良いからね？」

「はい、ありがとうございます！」

純喜くんは笑って頷いた

私の受験がこれ程までに大切な意味を成していたなんて

結果が良かったから今こうして居られるが、
もし悪かったらどうなっていたのだろうか

少し考えてみたが、母の怒った顔がチラついたので
私はすぐさま考えるのをやめた

兎に角、私たちは正真正銘家族になったらしい