春の一コマ その5 ページ9
「そういえば、Aちゃんは部活何に入るの？」
新学期から数日。
新しい生活にも慣れてきたそんな午後に、光くんが思い出したように聞いてきた。
「部活？部活かぁ…そういえばもうそろそろ決めなきゃだねー。」
というか、この学校ってどんな部活あるんだっけ？
部活紹介のときにちゃんと聞いとけばよかったなぁ。
「えーっと、運動する系はバスケとか野球が強いみたいだね！あっ、けど、文化系は以外と少ない…」
学校のパンフレット？を見ながら光くんが説明してくれる。ありがたい。
「へ〜！茶道部なんてものもあるみたいだよ！Aちゃん！」
うーん、教えてもらってなんだけど、運動系にピンとくるものがないなぁ…かと言って、楽器とか茶道に興味があるわけでもないし…
「私、今のところピンとくる所ないかなぁ。光くんはどう？」
「ボク？うーん。実を言っちゃうと、ボクもそこまで気になるとこがないんだよね〜」
中学のころ入ってた部活、この学校にないみたいだし。と光くんが続ける。
そっかぁ。光くん、別の中学から転校してきたんだもんね。
「あ、だけど、噂ではこの学校、美術部がすごいらしいよ？」
「美術部？」
どうすごいんだろう…絵がすごい上手い人がいる…とか？
「今のところボクが興味あるのはそこくらいかなー。」
そうだ！と、ひらめいたように光くんが手をたたく。
「ねぇAちゃん！特に気になる部活がないなら、ボクと一緒に美術部の部活見学行かない？」
すごいってどんなかんじか気になるし！と、目をキラキラさせながらの提案。
…うん。なにもせずにうだうだ悩むのもいやだし、なにより私も、『どうすごいのか』っていう興味はあるし。
それに、いい雰囲気なら入るのもアリかもね！
「うん、実は私も少し、美術部に興味沸いてるんだ！今日の放課後にでも行こうか！」
美術部の部室は…旧校舎三階かぁ。結構遠いな…
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作者名：とうふけいじょし@めんつゆがけ | 作成日時：2019年6月9日 20時
