29話 思わぬ出発 ページ31
会場に足を踏み入れると、予想以上の人の多さと熱気に目を見開く。
『お、思ったより人、多いんダネ』
か「そりゃあ東京だし、人はかなり来るよ」
やべぇこれ迷子になったら終わるじゃん、と思いながら歩いていると…
兎「A、俺のココ掴んどけよ」
『え』
光太郎が指差したのは、肩掛けバッグの紐のところ。
手じゃないんだ……と落胆する自分を振り切り、『ありがとう』とそっと紐を握った。
兎「(……やっぱりA可愛い……なんか直視出来ねぇ……)」
しばらく歩いていると、雪絵が口を開く。
雪「ね〜、私わたあめ食べたい〜」
か「え？りんご飴食べたくない？」
赤「腹減ったんで、焼きそば食べたいです」
木「それな赤葦」
『見事に割れたね…』
雪「じゃあさ〜、あのテーブル集合にしてみんなで色々買ってこよ〜よ」
雪絵が指差す先には、簡易的なテーブル席が置いてあった。運良く誰も使っていない。
『うん、いいと思う』
それを確認し、言った。
か「さんせー、あたしりんご飴買ってくるね」
赤「花火打ち上がるまでには、帰ってきてくださいよ」
各々散っていく中、私は光太郎に声をかける。
『光太郎は？焼きそば？』
兎「え、あー…俺らさ、ここで留守番してようぜ！誰かに取られたらほら、大変じゃん！」
『そうだね、じゃあ待ってようか』
そう言いながら、椅子に腰掛ける。
二人きりなので心臓五月蝿いが、それを気にしないふりして、人の流れを見つめていた。
特に話すこともなく、終始無言で居ると、スマホの着信音が響き、ビクッとする。
兎「誰から？」
『雪絵じゃん、どうしたんだろ』
スマホを耳に当てると、いつも通りおっとりとした雪絵の声が聞こえてきた。
雪「あ〜、A？」
『もしもし、どうしたの？』
雪「迷っちゃった〜…」
『え』
話の内容は、道に迷ってしまったので、戻るのが遅くなるということで。
帰ってこれんのか…？と思いながら通話を切ると、男子勢が戻ってきた。
『雪絵が迷っちゃったらしいんだけど』
木「まじで！？」
『…迎えに行ってあげたほうがいいかな』
スマホを仕舞い、立ちあがる。
赤「確かに、白福さんひとりで戻って来れるかは曖昧ですしね」
兎「え、A行っちゃうの？」
しょげたような声が聞こえたので、振り返る。
『大丈夫、すぐ戻ってくるから』
兎「……わかった」
頷く彼に微笑みかけて、その場を後にした。
30話 また、見つけてくれた→←28話 初っ端から最高すぎんだろ
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ななサマ - これは神作！キュンキュンしちゃいました！木兎さん推しとしてはこの設定は神。大好きです！！ (2022年6月7日 22時) (
レス) @page38 id: 3d9458003a (このIDを非表示/違反報告)
みづお - わー！ありがとうございますっ、頑張って更新します！！ (2022年4月7日 15時) (レス) id: 4414ac7bc9 (このIDを非表示/違反報告)
aya - メッチャ面白かったです(*´ω`*)更新楽しみにしてますねっ！！ (2022年4月6日 23時) (レス) @page29 id: 563d44d02c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みづお | 作成日時：2022年4月4日 12時
