15話 お勉強とアイス ページ17
記憶の彼方にいる光太郎は、太陽みたいな人。
いつも明るくてはちゃめちゃに笑って、何でも楽しそうにやる人。
でも……
兎「わけわかんねー………助けてA……」
『えっとね、ここは……』
確か、勉強は苦手って、言ってた、はず…………
放課後。図書室。
今日の部活はoffである。
インターハイは惜しくも都大会で終わってしまったが、みんな切り替え早く、春高に向かって練習を進めている。
そして今は、もうすぐ期末テストという時期。
補修と練習試合は被らないから、もし赤点を取ってしまっても練習試合は可能だ。
だが折角の夏休みが潰れるのだ。補修によって。
それは光太郎も嫌らしく、今は教科書を見ながら唸っている光太郎の勉強を見ているところ。
兎「なあA…数学って将来いつ使うの……」
弱々しく一生の疑問を口にする光太郎。
『それを言ったら終わりなんだよ、一緒に頑張ろう』
教科書に赤線を引きながら、私は答えた。
自分も勉強しながら、光太郎の勉強を見る。
光太郎といる時間も、増えるし、…一石二鳥。
外では早くも蝉が鳴き、太陽がギラギラと照りつけている。
もう、夏だ。
兎「Aー!俺疲れた!!!帰りたい!!!」
『えっ…、もう少しやってこ?』
兎「アイス食べたい!!!帰りにアイス買って帰ろーぜ!!!」
『えー…』
さっきまでの集中はどこへやら。もう教科書を鞄に詰め、肩に背負ってしまっている。
こうなった光太郎を止めることが出来ないのは、知っている。
『はぁ…じゃあ、帰ろうか』
仕方なく荷物をまとめ、立ち上がった。
***
通りすがりにある売店でアイスを購入し、ベンチに座って食べている。
光太郎はガリガリ君を二本。全く、彼らしい。
私はとりあえずチョコバーを買い、食べている。
アイスが美味しい季節になった。
兎「あー!!うめぇ!!!」
『光太郎、そんなに一気に食べたら……』
兎「頭ギンギンする!!」
『やっぱり……』
隣で無邪気に笑う光太郎。
幼い頃から、私はこのポジションが、居心地よくて。
兎「A!!」
『?』
顔を横に向けると、ガリガリ君を私に向かって差し出している光太郎。
キラキラとした眼差しに勝てるわけもなく、素直にぱくっとかじりついた。
しゃくしゃくとシャーベットが溶けていく。
その私がかじりついたガリガリ君を、光太郎が平然と頬張っていて目が点になったのは、秘密。
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ななサマ - これは神作!キュンキュンしちゃいました!木兎さん推しとしてはこの設定は神。大好きです!! (2022年6月7日 22時) (レス) @page38 id: 3d9458003a (このIDを非表示/違反報告)
みづお - わー!ありがとうございますっ、頑張って更新します!! (2022年4月7日 15時) (レス) id: 4414ac7bc9 (このIDを非表示/違反報告)
aya - メッチャ面白かったです(*´ω`*)更新楽しみにしてますねっ!! (2022年4月6日 23時) (レス) @page29 id: 563d44d02c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みづお | 作成日時:2022年4月4日 12時