生きた証を、この世界に［桃］

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トイレから出てまっすーと喋りながら、行きと同じように病室まで歩いてたの。




そしたら本当に突然、キーンって耳の中が詰まるみたいな感覚。昨日の朝よりも、ずっと音が遠くになっていく感じ。




あ、これ、やばいかもしれない......？って思った途端、急に頭がぐるぐるして動けなくなった。




味わったことのない、まるで頭の中で震度5ぐらいの地震が起きてるみたいな初めての感覚。




"気持ち悪い"というより"なんだこれ？"って、自分でもすぐに理解が出来なかった。





おかしいってことをまっすーに伝えようとしたのに、だんだん滑舌が回らなくなって、そのまま フッ って意識が飛んだ。




遠くで "手越"って呼んでる声がして、目が覚めたらまっすーに支えられて床に倒れてた。あ、意識飛んだの一瞬だけかって。




そう思ったのも束の間。またあの地震みたいなぐるぐるした感じが戻ってきた。しかも今度は異様な吐き気まで襲ってきて胸が気持ち悪い。




「手越......っ！大丈夫？分かる？！」




パニックになったみたいに俺に呼びかけるまっすーの声にとりあえず頷いてみたけど、もう吐き気は限界だった。




「まっすー......っ、きもち......わる......っ、げほげほげほっ、おえっ、」



吐きそうだってことを頑張って伝えようと思ったのに、間に合わなかった。




大切なまっすーの服の上。こんなとこで吐いちゃいけないって思うのに、自分の意思じゃもうどうにも止められない。




何も食べてないはずなのに訳わからないぐらい吐くのが止まらなくて、怖くて、苦しくて、悲しくて、顔は生理的な涙でぐちゃぐちゃになった。



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