◇証 ページ40
それからユキジは、自分が知っている父親・檜山蓮を語った。レックスの時とは違う、たったひとりの愛娘に見せる父親としての彼を・・・。
この時の彼女は、その当時を懐かしむような口調だった。微笑を浮かべ、楽しかった過去を懐かしむ様子だった。
そんなユキジを見ていて、ハルキは思った。あの発言は本当だったのだと。
悪いことや辛いことばかりではない。家族としての時間もあったのだ。家族として過ごした、楽しい思い出が・・・。
ユキジ＞・・・・・私はね、全部覚えていたいと思ってる。だからこそ、罪を背負わないという選択は無いんだよ。楽しかった思い出も、嬉しかった思い出も、悲しかった思い出も、辛かった思い出も。お父さんが犯した罪も・・・それらは全部、檜山蓮というひとりの人間が、そこにいた証なんだ。その証を消したくない。
ハルキ＞証、か・・・。
彼女がなぜ、父親の罪を頑なに背負うと言い続けていたのか・・・ようやく理解できた気がした。
ただ償う必要があるから、というだけではなかった。彼女は全てを含めて、檜山蓮というひとりの人間を覚えていたかったのだ。父親の全てを、覚えていたかったのだ。
ハルキ＞・・・・・なら、もう背負うなだなんて・・・俺には言えないな。
ユキジ＞ハルキ。
ハルキ＞父親の罪を背負うということには、お前なりの理由があった。ただ縛られているだけに見えたんだ、俺には。だがそうではなかった。そこにはユキジ自身の願いもあった。なら俺はもう、背負うなとは言わない。だが、やはりひとりで背負うには重過ぎないか？
ユキジ＞それは覚悟の上だ。ひとりっ子だったし。
ハルキ＞・・・・・俺にも、背負わせてくれないか？
ユキジ＞え？
ハルキ＞・・・・・。
ユキジ＞・・・他人に背負わせる気は無いよ。第一、これは身内である私のーー。
ハルキ＞好きだ。
ユキジ＞ーー。
ハルキ＞俺は、ユキジが好きだ。
ユキジ＞・・・・・いや、ちょっと待て。なんでこのタイミング？
ハルキ＞いや、まあ、俺もどうかとは思ったが・・・。
互いに冷や汗を流し、この状況をどうしたものかと考える。先に口を開いたのは、ハルキだった。
ハルキ＞・・・・・わかっては、いたつもりだ。お前が誰かを好きになる気は無いと。だが、それは父親の罪の意識からだろう？自分ではなくとも、身内にそういった人物がひとりでもいれば、将来的に叩かれることもある。相手をそれに巻き込みたくない。そんな所じゃないか？
ユキジ＞・・・・・。
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れいな(プロフ) - コメント失礼します！初めから読みました！ハルキ推しなので気になります！ (2020年3月25日 3時) (
レス) id: 24304f577c (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 期待しています 輝け進め 楽しみにしてます、 (2018年3月25日 22時) (レス) id: 584c5fbe86 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - ムラクルートもう読める状態なんですか (2018年3月25日 22時) (レス) id: 584c5fbe86 (このIDを非表示/違反報告)
吹雪向日葵 - はじめまして、ミカサさんの作品は1から読んでます。貴方の作品を読んで私は明るくなりました感謝してます。また帰ってきてください！ (2017年12月23日 12時) (レス) id: 32b9ad8a80 (このIDを非表示/違反報告)
夢月花(むつきはな) - はじめまして、夢月花(むつきはな)といいます。ミサカさんのダン戰作品はずっと読ませてもらってます！！続きを楽しみに待っています！！ (2017年8月14日 21時) (レス) id: e5a665e7f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミサカ美琴 | 作成日時：2013年12月26日 17時
