透明ノ空 -2- (ページ10)

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55話『人のヨクボウと』＊柑奈ページ10

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「助けて…お兄ちゃん…」

っっ…なんでいるんだよ…

「なんで…って…お兄ちゃんに…」

違う。あいつはもう…

「お兄ちゃんに復讐しにきたんだよ。」

やめろよ…

やめてくれよ…俺が強くなかったから…

その次に出てきた言葉は俺を傷つけるのに

______________「お兄ちゃんなんて…＊＊」

「…っつ」

ニャーニャーと猫、ハヤトの声が聞こえる

『おーいまたうなされてたよ？』

はぁ…またこの夢か…

『トワのせいじゃないのに…責任を持ちすぎだよ。』

違う。全部俺のせいだ。

俺があいつを見捨てなかったら

『だから違うって！！あいつらがまず俺達を売ったのが悪いんだろ！！』

「大丈夫だから。」

ハヤトを安心させるための言葉

あいつの事を紛らわせるための言い訳にしか

今はもうならない

このブレスレットだって

男のくせにつけてるのかよって情報部隊の人に言われた覚えがあるけど。

これはそんな理由で外すわけにはいかない

これは俺の妹の形見だ。

そういえば今日の夢も酷かった。

最後こんな事を言われた

「お兄ちゃんなんて…死ね」

あれはきつかった。

『はやく見つかるといいね。薬！そしたらいい夢も見れると思うし。』

いきなりハヤトがそんな事をいった

確かに。この能力のせいで俺と妹とハヤトは。

あの時の事をいつまでも忘れられない俺も弱い。

どうせ。

いつか捨てられるんだ。

この団の人達もそうだが…人の心なんてたかが知れている。

そういえばすごく裏表の酷いやつもいたっけな…

その反対に純粋なやつもいた

恋をしてるやつもいたっけなー

そんな事も含めて全部知れてしまうこの能力は

相当気味が悪い。

まぁ俺は恋なんてした事ないけど。

そんな事はどうでもいいとして

＊

いつか俺も明日に勇気がもてるように

今日を生きていきたい…