第三話▽おまけの話 ページ21
裕翔が出て行った後、いつもぼーっとしているが、さらに物思いにふけっている伊野尾に、薮が不思議そうに声をかけた。
「…どうした？」
「ん？んー…、裕翔ね、似てるなって、」
1年の頃の自分に、と伊野尾は言った。
「叱られたこと、あんまりないんだろうね。たぶん裕翔は『いい子でいれる子』なんだと思う。叱られるようなことしないで生きられるし、生きて来た子」
「あぁ…なんか、わかるかもな、」
「うん。でもさ、そういう子に限って、たまに踏み外すんだよね。『いい子』に縛られすぎて。裕翔が今日嘘ついたのも、たぶんそうだから」
駆けつけた時、壊れたドアを見てすぐに事情はわかった。
しかしその後、明らかな嘘をつき、少し問いただしても嘘を改めない裕翔を見て…
伊野尾はまるで、昔の自分を見ているかのように思ったのだ。
*
「いたいぃ〜〜っ！やあぁぁっ…！」
バシィンッ！！ バシィンッ！！
「やだぁあっ…ごめんなさいぃっ！おおの、先輩っ…！」
「いのおくん、ダメだよ嘘は。どんなに小さい嘘でも、必ず、身を滅ぼすよ」
バシィンッ！！ バシィンッ！！
「ごめんなさぁあっ…いだぁあっ！！」
…
*
伊野尾が1年生だった頃、似たような理由で先輩に罰則を受けた。
普段のんびりしている先輩で、役職を持つメンバーの中でもあまり怒らなそうな、そんなイメージを持っていたのに…
その日、真っ赤に腫れるほど叩かれたお尻には、端の方に先輩の手形が残るほどだったのを覚えている。
…それだけ厳しく叱られた。
『どんなに小さな嘘でも、必ず身を滅ぼす』
先輩に言われた言葉は、その時深く記憶に刻まれた。
「俺もね、そういうタイプだったから。だから裕翔…あのままじゃダメだって思って」
いい子でいすぎた故の、弱さ。
叱られることを知らず、叱られることを恐れて。
いつの間にか嘘で固めてまでもいい子でいようとしてしまう。
その嘘は、悪い方向にしか働かない。
「悪いことはしない方がいいけど…でも、悪いことして、先輩たちに叱られて、わかったこともあるから。いい子でいることが全てじゃないし、それで臆病になって結局悪いことしたんじゃ意味ないし」
「そうだな、」
「…わかってもらえた、かな」
「裕翔なら大丈夫だろ」
伊野尾は導きたかったのだ。
あの日の自分が、あの罰則で少しだけ変われたように。
裕翔の中の何かが変われば。数年前の自分に照らし合わせてそんなことを思っていた。
第四話 賭け事 ▽Yb/Ar，Hk/Ym，In/You→←・
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みつあめ(プロフ) - ともさん» ありがとうございます！何度も読んでいただいて嬉しい限りです😭‼️かなり不定期の更新ですが、今後ともよろしくお願いします！ (2022年10月24日 0時) (
レス) id: 19e769908e (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 何回も読んでたお話だったので更新されて嬉しかったです！また楽しみにしています！ (2022年10月23日 17時) (レス) id: 5321468578 (このIDを非表示/違反報告)
みつあめ(プロフ) - ゆずかさん» コメントありがとうございます！可哀想な山田さん好きなんですよね…笑 お酒の話は構想としてありました！ので、時間はかかるかと思いますがお届けできるかと思います…！ (2020年5月2日 21時) (レス) id: 19e769908e (このIDを非表示/違反報告)
ゆずか(プロフ) - もしリクエストが可能であれば………調子になっちゃった年下君たちがタバコかお酒に手を出してみっちり叱られる作品も見てみたいです^ ^みつあめさんの作品大好きです。これからもお体に気をつけて無理なさらないでくださいね。ご自身のペースでの更新楽しみにしてます (2020年4月30日 2時) (レス) id: a1b53c5ee3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずか(プロフ) - お道具を使われる山ちゃんにゾクゾクしました。最高の作品をありがとうございます^_^ (2020年4月30日 2時) (レス) id: a1b53c5ee3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みつあめ | 作成日時：2019年12月8日 18時
