検索窓
今日:6 hit、昨日:1 hit、合計:16,504 hit

双黒 ページ11

夜の闇に一つの爆発音が轟いた。

続いて上がる濃い煙。

その煙を見た人々は皆口を揃えて云った。


「黒社会、最悪のコンビだ」


その声、爆発音、狼煙を見ながらある一人が小さく呟いた。


『……………双黒の誕生だ』


その日の月は妙に紅く、また、大きかった。



その日のポートマフィアは上から下まで大騒ぎであった。否、大騒ぎなんていう言葉で纏めてはいけない。

"大混乱"していた。

「ッは…太宰!居たか!?」

「………居ない」

ドアを壊さんばかりに音を立て入って来たのはポートマフィア構成員の中原中也。

中也の問い掛けに首を横に振ったのは、ポートマフィア、歴代最年少幹部である太宰治。


二人はある人物を探していた。


「…居ない。監視カメラの映像を幾らさらって観ても何処にも映っていない。そっちは?」

「家にも居なかったぜ…。荷物も何もかも、まるで忽然と消えたみたいに…」



「「…何処に行った、A兄さん…」」


二人の声が揃い、消えていった。
彼等が探しているのは恩師である島崎A。

昨日まで同じ屋根の下で過ごしていた筈なのに、まるで神隠しにでも合ったかのように忽然と姿を消した。


「…中也、太宰」

「「…!姐さん」」

「Aは居たか?」

「…いえ」


凛とした声で二人を呼び、部屋に入って来たのはポートマフィア五大幹部である尾崎紅葉。

尾崎は中也が首を横に振ったのを見て、溜息をついた。

「困ったのぅ。Aも五大幹部の内の一人じゃ。拷問で情報を吐くとは思えぬが…」

そしてもう一度大きな溜息。
尾崎は先程の任務から帰還したばかりで疲労も溜まっている筈だ。だのに、ここまで必死になるのはAを大切に思っているからで。


その時だった。


「太宰君、中也君。少し話が有るのだけど」


「…首領!!」

失礼するよ、と入って来たのはポートマフィア首領、森鷗外。

突然の長の登場に動揺を隠し切れないが中也は背筋を伸ばした。

「…話ってなんですか」

「A君の事だよ」

不機嫌オーラを隠しきらない太宰はじとりと森を見る。その視線を受け、森は苦笑した。

「…A君は失踪した。けどね」



「それは仕方の無いことなんだよ」



「……仕方の無いことってなんですか」

「太宰君」


「A兄さんが組織を裏切る訳が無いッ!あの人が、今まで会った人の中で一番素晴らしい人が、そんな事する訳が無いッ!


それが仕方の無いことで済むと思わないで下さいッ!!!」

*→←夏目漱石という男



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (42 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
85人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

菜月羽(プロフ) - 金糸雀さん» 大丈夫ですよ!ありがとうございます!!早めに書き始められるように頑張ります!これからもよろしくお願いします! (2018年5月6日 6時) (レス) id: 386948e46a (このIDを非表示/違反報告)
金糸雀 - すみません。少しミスってしまいました。 改めてDEADAPPLE編楽しみにしています! (2018年5月6日 2時) (レス) id: ecebeb527e (このIDを非表示/違反報告)
金糸雀 - とても面白かったです。 DEADAPPLE編 (2018年5月6日 2時) (レス) id: ecebeb527e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:菜月羽 | 作成日時:2018年3月5日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。