師匠との再会 ページ1
手作りの和菓子を袋に入れ、意気揚々と歩みを進める度、長く綺麗な銀髪がふわりと揺れる。
心底嬉しそうに口角を上げるのは、武装探偵社の島崎A。
この日の為に終わらせられる仕事を全て終わらせ、今日に入っていた予定も全て別日に移した。
そこまでするのは今日という日がとてもたいせつで特別な日であるから。
『(楽しみだな…夏目師匠に、会えるなんて)』
そっと懐に入っている手紙に触れる。
軽い紙であるにも関わらず、それはとても重いものに感じられた。
『(元気だと良いな…)』
空を見上げると突き抜ける様な青空が遠い所まで続いていた。
＊
薄暗い地下通路に入り、鉄扉を押し、中に入る。薄暗い部屋を進み、更に階段を下りると、見慣れた晩講堂へ足を踏み入れた。
「久しいな、Aよ。道には迷わなかったか？」
『お久しぶりで御座います。真逆。ボクが迷う訳が無いでしょう？』
明るく懐かしい声が響き、一人の老人が姿を現した。
彼は神出鬼没で政府と黒社会の何方にも通じ、どんな調査機関に尻尾すら掴ませない、Aの恩師である
『────夏目師匠』
夏目漱石。
夏目は嬉しそうに微笑むと、Aを手招きし、自分の正面に立たせる。
そしてAの頭に手を置き、微笑んだ。
「随分大きくなりよって。昔は儂の腰辺りまでしか無かったのになぁ」
『もっと有りましたよ。そんなに小さくないです』
頬を膨らませてじとりと見ると夏目は「そうだったか？」とおどけてみせた。
『そうだ。これ、作ってきました。師匠の好きな和菓子です』
「わざわざ済まぬな…。Aの菓子は昔から美味かったからな。勿論、飯も美味いがな？」
『嬉しいお言葉ですよ』
近くの机に慎重に菓子を置き、夏目は茶の準備を始めた。
その背中にAは話しかけた。
『夏目師匠』
「なんじゃ？」
Aは懐から手紙を出し、肩の位置でそれを掲げた。
そして口を開く。
『６年前。師匠はボクをこの様に呼び出した』
「懐かしい、昔の話だな」
茶を淹れ、夏目は振り返って云う。
しかし、Aの表情は険しくなる。
『その時にボクは貴方の三刻構想の為に』
『ポートマフィアを抜けた』
「それは本当に助かっとる。Aだって嫌では無かっただろう？」
拳を強く握りしめ、Aは夏目を見る。
その目には後悔と自責の念が浮かんでいた。
そして口を開く。
『今日ボクを呼んだのは──────』
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菜月羽(プロフ) - 金糸雀さん» 大丈夫ですよ！ありがとうございます！！早めに書き始められるように頑張ります！これからもよろしくお願いします！ (2018年5月6日 6時) (
レス) id: 386948e46a (このIDを非表示/違反報告)
金糸雀 - すみません。少しミスってしまいました。 改めてDEADAPPLE編楽しみにしています！ (2018年5月6日 2時) (レス) id: ecebeb527e (このIDを非表示/違反報告)
金糸雀 - とても面白かったです。 DEADAPPLE編 (2018年5月6日 2時) (レス) id: ecebeb527e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜月羽 | 作成日時：2018年3月5日 20時
