114.未来への疑心暗鬼 ページ39
ー橙ー
真っ白い、部屋。
その中に響きわたる鈍い音。
男は、狂気の色をした目で見下す。
［……ごめんな、さいっ、……許して…… ］
謝り続ける少女を。
俺は何故か、その様を見ていた。
2人には見えていない。ただ、傍観しているだけ。
［……っ……ごめんなさい、ごめんなさい…！］
ずっとそう言い続ける少女が、可哀想でならなかった。
今すぐに助けに行きたい。
けど、俺はここから動かなかった。
2人を見て、胸が締まるばかり。
［ねぇ、嫌だ…！だめ………わたし、もう……］
すると次の瞬間、男は鞭で少女を叩きつけた。
男は笑い、少女は嘆く。
相反するふたつの世界が、そこで混じり合っているように見えた。
［……ごめん、な、さい… ］
そればかりを口にしていた少女は、そのまま力尽きた。
気を飛ばしたのか、それとも…………
？「やっと、見てもらえたんやね 」
いつのまにか、そこに立っていた。
橙「ヤス……… 」
青「…わかってもらえた、やんな？」
橙「これが……ホンマに…？」
青「おん。俺が見たもの、そのままや 」
そう言うヤスの言葉は力強くて、嘘なんて無かったんだと思った。
俺が、ずっと勘違いしていただけ。
青「マル、これは夢やねん。今館では、マルは眠っている状態。多分そこまで記憶は無いんやろうけど 」
確かに俺の最後の記憶は、大倉に両肩を掴まれて何かを言われたところまでだった。
それから先は、白いこの部屋にいた。
青「今は俺がマルの夢をのっとって、こうやって普通に会話できるようにしてるけど…、夢が覚めたら、マルはもう吸血鬼やねん。感情を持たない完全な。」
なんでも出来んねんな、とヤスの力に驚く。
そして、やっぱり俺は完全なる吸血鬼になってしまってようだ。
覚悟はしていた。誰を信じたら良いのかずっと迷っていたし、ヤスのことも疑心暗鬼だったから。
青「でも、これはマルの力も必要やねん。…手伝ってくれるやんな？」
橙「もちろん。…もう、疑ったりせんから 」
ヤスは、その言葉を聞いてニンマリと笑った。
…そうや、ヤスやって俺に信じてもらえんかったから不安やったんやな。
1人で抱えてたんやもん。
青「…全て、俺らの思い通りにさせたるわ 」
マントを広げると、ヤスはどこかへ消えていった。
俺も、目の前の景色が歪んでいく。
永遠の迷宮とも、あと少し_______
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 75人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
朱狐(プロフ) - ハニーレモンさん» 本当ですか！ありがとうございます！励みにして頑張ります！ (2019年9月28日 8時) (
レス) id: 576e85210a (このIDを非表示/違反報告)
ハニーレモン - はじめまして最初から読みました。安くんの存在も気になります。すばるくんには主人公ちゃんを最後まで守ってあげてほしいです。楽しみに待っています。(*^-^*) (2019年9月28日 0時) (レス) id: 74ed2de143 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：朱狐 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=tikuwa123456789&scr=novel/bokuranokako...
作成日時：2018年2月8日 19時
