108.立ち止まると ページ33
ー赤ー
マルを見つけてからというもの、ずっと亮の眉毛は下がったままだった。
きっと、何もかもを読めてしまうから、
マルの行動と照らし合わせて、“そういうこと”なんやと思わざるを得なかった。
大倉の叫びも虚しく、マルの心には何も届いていないだろう。
なんて、残酷な。
緑「…亮ちゃん。マルの、心は、ある？」
黄「それが、全く見えへんねん。感情も、何を考えてるのかも… 」
赤「そんなことって…… 」
俺らは、まだ吸血鬼と人間の間をさまよっている。
どうしてそんな状況に置かれたのか、何故初めから完全な吸血鬼にしなかったのか、そのどちらもまだわからない。
けど、ここで確実に一線を引かれた。
マルは、完全な吸血鬼になってしまった。
黄「……とりあえずヤスのことは置いといて、マルを横山くんと村上くんのとこに連れてった方がええと思う 」
緑「そうやな。まだ混乱してるけど…… 」
亮はそうやって冷静に言うけれど、きっとどこかでまだ処理しきれていない部分もあるはずだ。
みんな同じ気持ちでいるはず。
それなのに、やっぱりまだ信じられない。
大倉はマルを背中に乗せ、意を決したように目配せをした。
赤い石を握ると、またさっきの部屋に景色が変わる。
黒「うわっ！あーもう、びっくりした…… 」
紫「ずいぶん早いんやね、…ってあれ、マル？」
ヒナはびっくりしたように、いつのまにか目を閉じたマルを見つめる。
黒「…どういうこと？全く掴めんのやけど 」
紫「寝てるん？これ 」
緑「ちゃうねん…。ちょっと、ベッドの上寝かせていい？」
黒「おん、大丈夫。」
優しくベッドの上に乗せると、何故か規則正しく寝息を立てている。嵐の前の静けさってやつか。
紫「で、マルはどうしたん？」
赤「単刀直入に言う。
…マルは、もう完全な吸血鬼になった 」
黒「…は？」
紫「嘘やろ…？」
すぐさまそう言った2人は、多分さっきの俺らと同じ顔をしている。
そりゃそうや、俺だってまだ信じられへん。
黄「ホンマなんや。…実際、心の中を読もうと思っても読めなくなってるから。」
その事実も相まって、俺の言葉が現実味を帯びただろう。
信じられない。
2人は多分、そんなことを思ってる。
それは俺だってそうだし、亮も大倉もそうだろう。
原因とか、これから待ち受ける事なんてどうでもいい。
…今はまだ、受け止めきれない。
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朱狐(プロフ) - ハニーレモンさん» 本当ですか！ありがとうございます！励みにして頑張ります！ (2019年9月28日 8時) (
レス) id: 576e85210a (このIDを非表示/違反報告)
ハニーレモン - はじめまして最初から読みました。安くんの存在も気になります。すばるくんには主人公ちゃんを最後まで守ってあげてほしいです。楽しみに待っています。(*^-^*) (2019年9月28日 0時) (レス) id: 74ed2de143 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朱狐 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=tikuwa123456789&scr=novel/bokuranokako...
作成日時：2018年2月8日 19時
