106.本は全てを伝える ページ31
ー黒ー
瞬く間に3人は消え、また2人だけの静寂が訪れる。
ヒナは、難しい顔をして大倉から受け取った台本を読んでいた。
俺はというと、さっき読んでいた本の解読の続き。
ずっと同じ作業を繰り返しているが、やはりそのほとんどが人間の人生を記した本だった。
生まれてから、その一生が終わるまで。
全ての本が、その人間の全てを記していた。
理由はまだわからない。
ごく稀に、俺には解読不能な文字で何かが書かれてある本がある。
その１つに、気になることが書かれてあった。
それは、“魔法使い”の存在について。
吸血鬼とも人間とも異なる。
吸血鬼にはない感情を持ち、人間にはない大きな力を持つ。
その力というのは“魔法”と言い、主に変化させる力である。
そこまでは良かった。
“しかし魔法を使うには、使う魔法使いの身体を削ることになる。その魔法の大きさにもよるが、小さければかすり傷程度。しかし、大きければ寿命をも削らなければいけなくなる。”
この文章に、俺たちは驚いたのだった。
そして、なる条件はただひとつ。
“誘いに乗ること”
誰からの誘いなのかはわからなかったが、それだけで簡単に魔法使いになれてしまう。
怖かった。誰かがさらに人間から遠ざかってしまう可能性があることが。
“全員で元の世界に戻る”
俺はそれをずっと願っている。
もし誰かが魔法使いになって、命を削るような力を使ってしまうようなことがあるとするなら。
俺はもう、耐えきれない。
紫「……ヨコ。やっぱり、これは今までの出来事が細かく載ってる。」
ヒナがページをめくるたび、身に覚えのある文章が見える。
紫「でも、これは俺にもどういうことかわからへんねん」
次にヒナは、さっき大倉に見せてもらったページを開く。
紫「多分、大倉はビビって見てへんと思うけど 」
そう言いながら、またページをめくる。
そこには____
黒「白紙…？」
紫「せやねん。こっから先、全部。」
黒「じゃあ、俺らとAちゃんの結末はどうなるか本当にわからへんってこと？」
紫「おん。もしかしたら、誰が台本に逆らって動いたのかもな。やから、結末が改変されたとか。」
台本の中身が白紙になることは、人間からしたら普通だ。
だって、人生に台本なんて存在しないから。
この本に何が起きたのか。
またもう一つ、謎が増えた。
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朱狐(プロフ) - ハニーレモンさん» 本当ですか！ありがとうございます！励みにして頑張ります！ (2019年9月28日 8時) (
レス) id: 576e85210a (このIDを非表示/違反報告)
ハニーレモン - はじめまして最初から読みました。安くんの存在も気になります。すばるくんには主人公ちゃんを最後まで守ってあげてほしいです。楽しみに待っています。(*^-^*) (2019年9月28日 0時) (レス) id: 74ed2de143 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朱狐 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=tikuwa123456789&scr=novel/bokuranokako...
作成日時：2018年2月8日 19時
