86.人間の衝動 ページ11
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「…あと、ひとつ聞きたいことがあるんだけど」
紳士的に振る舞うのをやめたのか、少しイラついた声で言った。
2人しかいないこの空間に、静寂が訪れる。
何を聞かれるか不安で不安で仕方がない。
唾を、ゴクリと飲み込む。
「今朝のニュース、見てくれた？」
赤「あ、はい。娘さんの……。」
「本当は名前も写真も公開したくなかったんだけど、1ヶ月も見つからないから、仕方なく公開したんだよね 」
赤「……それは、正しいと思います 」
本当はそんなこと思っていない。
彼がAを取り戻したいと思わなければ、この楽しい日常は無くならずに済むのに。
「やっとお互いに打ち解けたと思ったんだけどなぁ」
赤「……………」
最低だ、と改めて思った。
何度か見てしまったことがある。
それは、Aが負っていた傷だ。
背中にはいくつもの内出血や痣が出来ていて、正直、その暴力の激しさが目に見えた。
他にも、同じような傷が足や腕にもあった。
そんな光景が今、頭の中に広まってしまって、彼に対する感情を抑えるのに必死だった。
コイツさえ、コイツさえいなくなれば、Aも母親も助かる。暴力なんて受けなくて済む。何も悪くないのに辛い思いなんて、する必要が無いから。
今こそだ。
確かにAはアイツを憎んでいる。
だから、俺が……………。
赤「おい、おっさん」
イライラが募りに募って、言葉にしてしまった。
お澄まし顔だった彼も、驚いたように俺を見ている。
もう、引き下がれない。
「一体どうしたんだ、」
立ち上がって、言いたいことを全て吐き出そう。
何が変わるかなんて、知らないけど。
赤「そんなに自分が大切なんやな。何のストレスかは知らんけど、全部嫁さんやらAにぶつけてるやんか。そんなんやからAに家出されんねや！」
「まさか……、お前がAを…！」
赤「俺は誘拐犯でも何でもない。偶然、道でAが倒れていた所を助けただけや。しかも、事情を聴いたら酷い有様でな。“匿ってた”んや 」
「脅しか。俺を陥れたいのか 」
赤「ええんやで、Aの口から全部マスコミに伝えても。真実は被害者が1番分かってるからな」
「そうか。申し訳ないが、君は何も分かっていないようだ……。」
急に、ここまで話さなければ良かったと後悔する。これがAのためになるのだろうか、と。
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朱狐(プロフ) - ハニーレモンさん» 本当ですか！ありがとうございます！励みにして頑張ります！ (2019年9月28日 8時) (
レス) id: 576e85210a (このIDを非表示/違反報告)
ハニーレモン - はじめまして最初から読みました。安くんの存在も気になります。すばるくんには主人公ちゃんを最後まで守ってあげてほしいです。楽しみに待っています。(*^-^*) (2019年9月28日 0時) (レス) id: 74ed2de143 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朱狐 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=tikuwa123456789&scr=novel/bokuranokako...
作成日時：2018年2月8日 19時
