99.人間から遠ざかり ページ24
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赤「ほれ、腹減ったやろ?」
そう言ってテーブルに置かれたのはたらこスパゲッティ。
それは、一緒に暮らしていた時に私が気に入ったものだった。まだ覚えていてくれてるんだな、と思い嬉しくなった。
一口、食べてみる。
『美味しい… 』
赤「そりゃ嬉しいわ 」
はにかむ顔が優しくて、幸せそうで。
見れて良かった。また、出会えて良かった。
黄「まだ作ってたんや、それ。懐かしいなぁ 」
赤「食うか?」
黄「いや、信じられないくらい食欲がない 」
緑「なんでやろね…。あの食事会から一口も食べてないわ 」
赤「どうなってんねやろ、この身体。」
3人の会話を聞いて、心苦しくなる。
血を吸ってこないにしても、彼らは吸血鬼。
人間には当たり前にある欲求が無い。
その現実が、私と彼らの壁を作っているようで嫌だった。
そういえば、吸血鬼なのに1人にしか血を吸われていない。このままで彼らは、生きていけるのだろうか?
『血、吸いたくないんですか?』
ポツリと呟く。
これでスイッチが入られたら嫌だけど。
赤「あんまり思わへんわ、、それ。 」
黄「牙は生えてるんやけどね……。ま、吸ってなくてもキツイとかそんなんは無いで 」
緑「俺も大丈夫…やけど、マルにはさっき吸われたんやろ?」
『はい…。』
正直言って、あれは本当に怖かった。
あのまま食い尽くされそうで、恐怖で体が何も動かかなかった。出来れば血を吸われるのは避けたい。
黄「謎よなぁ、あの2人。何か、雰囲気が俺らと違うっていうか…… 」
赤「な。やってることが違うだけやのに 」
緑「あ、それなんやけど 」
すると大倉さんは、どこからともなく分厚い本を出した。マントに4次元ポケットでも付いているのだろうか。
緑「ホンマは見ないつもりやったんやけど、つい見てもうてん 」
分厚いのにも関わらず、器用にページを開く。
ここ、と言って細かい文字を指した。
近づいて見てみると、普通に日本語で書かれてあることがわかった。
………ただ、その文章が恐ろしかった。
緑「『“悪魔の吸血鬼”は何度でも姿を変え、館に迷いし少女に襲いかかるだろう。
そして、貴女は吸血鬼へと変化する。』」
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朱狐(プロフ) - ハニーレモンさん» 本当ですか!ありがとうございます!励みにして頑張ります! (2019年9月28日 8時) (レス) id: 576e85210a (このIDを非表示/違反報告)
ハニーレモン - はじめまして最初から読みました。安くんの存在も気になります。すばるくんには主人公ちゃんを最後まで守ってあげてほしいです。楽しみに待っています。(*^-^*) (2019年9月28日 0時) (レス) id: 74ed2de143 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱狐 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=tikuwa123456789&scr=novel/bokuranokako...
作成日時:2018年2月8日 19時