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「ごめんね、ジェシーくん」
「……なんで謝るの」
「ストレス発散するために話を聞いてもらったから。ジェシーくんをはけ口にしたから」
「そんなこと言わないで、いいよ」
似たようなやり取りを最近したな、と場違いなことを思い出す。
あのとき私は本当に怒ってなんていなかったけど、今、彼を怒らせたではないにせよむず痒い気持ちにさせてしまったことは明白で、謝らずにはいられなかった。
「でもね、もう慣れたんだよ。私にとってこれが普通だから」
「……」
「もう今さら、何にも思わないよ」
その上、虫の良いことをしようとしている。
話を聞いてもらうだけ聞いてもらって、今度は線引をしようとするなんて、ずるい。
今だって彼は顔をしかめて、私を慮って困っているのに。
彼の底知れない他人への思いやりが、まだ私は、怖い。
「寂しい？」
「え、」
「Aちゃんはさ、ずっと、寂しいんでしょ」
「……ん、と」
「教室でも、誰も話しかけないでって顔してるしそれも本気なんだろうけど。皆が思ってるほどAちゃんは暗くもないし人のことを嫌いじゃない」
「……そうかな」
「俺バカだからめちゃくちゃ強引に仲良くなろうとして、嫌われてもしょうがなかったと思う。でも受け入れてくれて、頑張って歩み寄ろうとしてくれて、ホント嬉しかった」
「それは、」
それは貴方が、私によくしてくれるから。
理由は今でもよくわからないんだけれど、両手いっぱいの優しさをぶつけてきてくれるから。
「仲良くなろうよって言えば、ちゃんと返してくれるじゃん。それってさ、少なからず誰かとこうやって楽しく過ごしたかったってことなんじゃないかな」
「そう、かな。」
そう、かも。
だって最近は毎日がちょっとだけあたたかい。
「俺、Aちゃんの友達になれてよかったよ。こうやって今、Aちゃんが一人にならない理由になれてよかった」
私こそ、そんなあたたかいことを目を見て言ってくれる貴方がいることが、たまらなく嬉しい。
「いつでも俺んとこ来ていいよ。家族が寂しい分。俺の時間をあげる」
何にも返せない私に、彼はいつも居場所を空ける。
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作者名：生駒 | 作成日時：2021年12月18日 23時
