ぼくのもの（Yuri.C）

つんでれ知念くん８ ページ8

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ー知念くんSide






バイト…


25時までっていくらなんでも遅すぎない？









伊野尾って人。どんな奴か知らないけどさぁ。





女の子に頼むなんて常識外れにもほどがあるし。









そんな時間までバイトして、Aのテスト勉強はどうなるの？








要領悪いし、一個一個丁寧にやるし。馬鹿だから人一倍時間かかるっていうのにさ。









バーベキューの時以来かな。


こんなふうにキツイ言葉を言われたのは。









涼介たちはいつも、は？とか、お前とか。

そういう汚い言葉使うじゃん。

だから何言われても全然びっくりしないけど。









…Aはいっつも優しいのに。









一人で大丈夫って言ってるでしょ？









顔を強ばらせて震える声で。なかなか出てこなかった心にある塊が、間違って勢い良く飛び出してきちゃったみたいだったから。


すぐに冗談じゃないってわかった。









あ〜やっちゃった。




付き合って翌日に振られちゃうかも、僕。







可愛くてつい馬鹿って言っちゃうんだよねー。









そんな僕の気持ちが届かないのと同じように、Aの本当の気持ちが届いていないことなんて知る由もなくて。









家に帰って一人、ソファで横になって狼狽える。








何度も何度もAのことを思い出しては、上手い接し方を考えてみたり。









レポート、テスト勉強、記入式の課題……






僕初めて単位落とすかもしんない。


全然やる気になんないや。








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漠然と過ぎる時間の中、ふとスマホの時計を見た。





まだ18時か。





あと7時間も働くの？



病み上がりなのに。






お人好しすぎるんだよ…









気付けばずっと頭はAでいっぱい。






そんな時、脳裏を過(よ)ぎったあいつ。





『伊野尾って言ってたっけ。むかつく』








見ず知らずのAの先輩。

もやもやの矛先はその人に向かっていく。









うっかりしてた、Aは大丈夫だって。








僕と話すのにもどぎまぎしてるし、華と涼介が付き合ってた時だって顔を真っ赤にして二人のことを見てたり。









周りには僕と大貴と涼介以外の男なんていないと思ってた。









『やっぱり迎え、行こっかな…』









伊野尾とかいう人のため、深夜まで頑張るお馬鹿さんな彼女に、ごめんねと…








うん、








一目会えたらそれでいいや。







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