. ページ18
「廉は、んーまあ例えばなんだけど」
「うん」
「私が結婚してもさー、廉、
一緒に暮らす？」
ぽつり、と尋ねる声に、理解ができず、時間が止まった気がした。
「は？旦那と？」
「うん。3人で」
「.......いややそんなん」
「えーそうなの？」
「いや、普通に嫌やろ、ていうかないやろ。なんでやねん」
「そっかそっか」
俯き加減の彼女の顔はよく見えない。
顔を見れば、何考えてるかわかるのに。
「....すんの？」
「ん？」
「.....結婚。
すんの？」
自分は、今普通に声が出せてるだろうか。
顔は強張ってないだろうか。
うまく、嘘はつけてるだろうか。
「んー、いや、したら、ってこと」
予定はないんだけどーと笑う彼女にほっとする。
こんなことですら、息が止まりそうになる。
「.....じゃあその場合、バージンロードは俺が歩くん？」
「はは！えーそうか！うーん。じゃあ神前にするわ」
こっちを見て固まった彼女が、吹き出す。
「なんでやねん。歩いたるよ」
「えーやだよ！だって廉じゃん。新郎よりかっこよかったら新郎が気の毒だよ」
パンツすら盗まれる男だからね、廉は、と笑うので肩をドンとぶつけて抗議する。
「ええやん。じゃあ俺も白タキシード着るわ」
「やばいやつじゃん」
彼女がけらけらと笑う。
今はまだ、笑い話だと思うと、安心した。
「はーー！おなかすいた！」
「いや、フレンチ食ったんちゃうの」
「だからー全然、味しなくて。もーだめ」
「うわーもったいな」
「でも向こうの奢りだったから。自腹だったらぶちぎれ」
「よかったやん」
なーんか廉の顔見たらお腹空いた、と片手で胃のあたりをさすりながら彼女がいう。
俺のせいにすんなや、とこづく。
「よし、ラーメン食べよう」
「えー俺もフレンチ食いたい」
「やだよ。1日ダブルフレンチはしんどいよ。ラーメンの気分です。濃いめの豚骨」
「もーしゃあなしやで」
「ふふ。この辺美味しいとこあったよねたしか。そこいこ！」
「はいはい」
「奢ってやろう！」
「ラーメンで威張るなや」
彼女が廉の腕を引っ張る。
廉は本当は冬が嫌いだ。
でも、寒がりの彼女が自分にくっついてくるから、毎年冬を待ち望んでいた。
どこかにタイムリミットがあったとしても
今はまだ、なんでもいいから、そばにいたかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 787人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「King&Prince」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まな - 一気読みしてしまいました！！無理のない頻度での投稿、楽しみにしてますね！ (2020年4月14日 0時) (
レス) id: 9c457a3c27 (このIDを非表示/違反報告)
はなうたこ(プロフ) - Nano.さん» ありがとうございます...！なるべくサクサクいけるよう頑張ります...！ (2020年3月17日 18時) (レス) id: 186150732f (このIDを非表示/違反報告)
Nano.(プロフ) - とても楽しくみています。次の更新をお待ちしています！ (2020年3月16日 12時) (レス) id: 03ff967dd1 (このIDを非表示/違反報告)
はなうたこ(プロフ) - ななみさん» ありがとうございます！このシーンから初めに思いついて描き始めたので嬉しいです！ (2020年2月19日 14時) (レス) id: 186150732f (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - ど、ドキドキしました。キスしちゃうかと思った。廉君にとって、血のつながりはないけど、誰よりも何よりも、きっと自分よりも大切な存在が、お姉さんなんですね。すごく切なくて、大切さがひしひしと伝わってきました。 (2020年2月17日 15時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はなこ | 作成日時：2020年2月13日 12時
