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「永瀬くんってさ、女の人と暮らしてるって本当？」
講義後のざわめく教室で、何度か飲み会で話した女子が話しかけてくる。
この子の名前はなんだっただろうか、と目をじっと見て考えると、すこし顔が赤くなるのがわかった。
「女の人？なんで？」
わかってはいるが、とりあえず聞き返す。
「んー、いや、なんか、他のゼミの子が、永瀬くんが女の人とスーパーにいるとこ見たんだって。いつも一緒に買ってる風だったから、って...」
よく見てるな、とも、えーそんなん見られてんの、とも思うが、マンションが大学からそう遠くないので、仕方ないなと思う
「あーまあそれが俺かはわからんけど」
なんとなく言い淀むのは、色々な面倒をなんとか避けられないかなあと画策してるためだ。
「二駅隣の、ボートのある公園の近くのスーパーだって。永瀬くんち、ここから近いって前誰か言ってたよね」
「...そやね、多分俺だわ」
「年上の、女の人だったって」
「よう見てんなー」
「一緒に暮らしてるの....？」
おずおずと、しかしはっきりと聞かれる。
勘違いしてるならそれでいいんだけどなあ、と思うが、嘘をついたところでいつかはバレるので、どうしたもんかと考えていた。
「....どう思う？」
立ち上がり、先程より目の前に立っていた彼女の顔と距離が近づいたところで、正面から見つめて、聞いてみる。
彼女が肩を強張らせてより一層顔を赤くしたのがわかった。
困ると顔に頼るのは悪い癖だとは思うが、自分の顔の有効性はもう知ってるので、これくらいのことは許されたい。
「え、いや、どうって....」
しどろもどろ、という言葉はこういう時に使うのだろうか、と彼女を見つめながら思う。すこし遠くの女子がこっちを見て何かヒソヒソと話してるのがわかった。
高校までもそこそこだったが、大学に入ってからは知らない人の数が増えたことで、こんなこともよく起きた。
その度に少し心が冷めるのがわかった。
「...住んでるよ、一緒に。2人暮らしやねん」
にっこり。
そう効果音がつくような笑顔で言う。
そのまま、じゃあ次の講義があるから、と教室を後にした。
嘘は言ってない。俺は。
後ろで彼女が固まってるのがわかったが、それは俺の知ったことではない。
真実を言ってないだけで、嘘は何一つ言ってない。
なんなら少し言いふらしてくれないかな、と思う。
そしたら少し静かになるだろうか。
不特定多数に囲まれる場所にいると、いつも少し、疲れる。
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まな - 一気読みしてしまいました！！無理のない頻度での投稿、楽しみにしてますね！ (2020年4月14日 0時) (
レス) id: 9c457a3c27 (このIDを非表示/違反報告)
はなうたこ(プロフ) - Nano.さん» ありがとうございます...！なるべくサクサクいけるよう頑張ります...！ (2020年3月17日 18時) (レス) id: 186150732f (このIDを非表示/違反報告)
Nano.(プロフ) - とても楽しくみています。次の更新をお待ちしています！ (2020年3月16日 12時) (レス) id: 03ff967dd1 (このIDを非表示/違反報告)
はなうたこ(プロフ) - ななみさん» ありがとうございます！このシーンから初めに思いついて描き始めたので嬉しいです！ (2020年2月19日 14時) (レス) id: 186150732f (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - ど、ドキドキしました。キスしちゃうかと思った。廉君にとって、血のつながりはないけど、誰よりも何よりも、きっと自分よりも大切な存在が、お姉さんなんですね。すごく切なくて、大切さがひしひしと伝わってきました。 (2020年2月17日 15時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はなこ | 作成日時：2020年2月13日 12時
