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このところ続いた暖冬が嘘みたいに、寒く厳しい冬が来た。
子供の頃あれだけ期待した雪は今では、彼女を冷たく覆う、最大の敵だ。
「.....38.5度」
「よし、微熱ね」
「そうやな。微かとは言い難いほど高い熱、略して微熱やな」
「.....仕事に」
「行かへんよな」
「............大人は」
「休めるよな」
有無を言わさぬ廉の態度に、パジャマのままソファーに座る彼女がむーっと睨んでくる。
「もう、無理言わんで。出社したところで、どう考えても迷惑やろ。それよりさっさと連絡して。今日やらないとならんことがあるなら、誰かに早急に頼まなあかんのとちゃう？」
自分でもびっくりするほどの正論で、彼女を丸め込む。
「....おっしゃる通りです」
彼女が廉に向かって手を差し出す。
これは、そこにあるスマホを取れ、のポーズだ。
「よろしい。さっさとそうしたらええねん」
「大人になると、休めない気がしちゃうの！」
「それなら今だけ子供になっとき。こんな寒い日にそんなんで外出たら、死ぬで」
「この都会で凍死はいやだな....」
「せやろ」
冗談のようで、本気の言葉。
今日は、今年初の雪が降るほど、冷え込んだ日だった。
上司に電話する彼女を置いて、廉は台所へ。
確かこの辺にあったよな....、とシンクの下を探ると、お目当てのものを見つけた。
古い家から運んできた、赤い湯たんぽ。
よく母親が布団に忍ばせてくれたこれは、不思議と劣化せず、今もときたま仕事をする。
電気ケトルのスイッチをいれながら、カウンター越しに電話する彼女をチラ見すると、ぼーっとした顔で電話を抱えて頭を下げている。
そういえば、熱を出すほどのことは、久々だな、と思う。
"休む。三限だけ代返しといて"
"どうしたの？"
"熱出した"
"わーお。風邪？"
"Aが"
"え！！！大丈夫！？"
"おい、ふざけんなよ"
"(〃ω〃)"
"なんの照れやねん"
海人に代返の依頼をして、スマホを置く。
ゼミの方は代返は聞かないが、一応神宮寺に連絡を入れて、教授に伝えてもらおう。
院生の彼は、今頃研究室にいるだろう。
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まな - 一気読みしてしまいました！！無理のない頻度での投稿、楽しみにしてますね！ (2020年4月14日 0時) (
レス) id: 9c457a3c27 (このIDを非表示/違反報告)
はなうたこ(プロフ) - Nano.さん» ありがとうございます...！なるべくサクサクいけるよう頑張ります...！ (2020年3月17日 18時) (レス) id: 186150732f (このIDを非表示/違反報告)
Nano.(プロフ) - とても楽しくみています。次の更新をお待ちしています！ (2020年3月16日 12時) (レス) id: 03ff967dd1 (このIDを非表示/違反報告)
はなうたこ(プロフ) - ななみさん» ありがとうございます！このシーンから初めに思いついて描き始めたので嬉しいです！ (2020年2月19日 14時) (レス) id: 186150732f (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - ど、ドキドキしました。キスしちゃうかと思った。廉君にとって、血のつながりはないけど、誰よりも何よりも、きっと自分よりも大切な存在が、お姉さんなんですね。すごく切なくて、大切さがひしひしと伝わってきました。 (2020年2月17日 15時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はなこ | 作成日時：2020年2月13日 12時
