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「れん」
控えめに彼女が自分の名前を呼ぶ。
「れーん」
「.....」
「ねえ」
「.....」
「れん....」
ピタ、と足を止めると、手を繋いだ彼女が勢いで軽くぶつかってくる。
「....なに？」
「いや...」
なんとなく、彼女を見ずに、言葉を待つ。
「....どこ行きたいの？」
彼女がおずおずと聞く。
彼女を攫ってから数分。会話もなくただひたすら歩いて、気付いたら少し人の少ない落ち着いたエリアに来ていた。
「ん？」
「いや、さっき、行きたいとこあるって」
「ああ」
先程自分がいった言葉を思い出す。そういえばそんなことも言ったな。
「そんなんいったっけ」
「いや、言ってたよ...どこ行くのかなって」
「あー....つうか、ここどこ？」
「は？」
彼女があからさまにわからないという顔をした。
「まあさっきのは、嘘、やね」
「困ってたやろ、A」
なんとなく決まりが悪くて、繋いだ手を両手でぎゅっと掴んで温めるようにして、話す。
手の中で彼女の手をぐっぱーと動かす。
「私？」
「うん。見つけたとき、困ってる感じがしたから、つい。勝手にごめん」
彼女は困っているときに、髪を触る癖がある。
顔の横の髪を指でいじってるときは、相当焦ってるときだ。
と、廉は思っていた。
それをみて、いてもたってもいられず駆け出したのだ。
彼女がぎゅっ、と手を握り返してきた。
「...廉はなんでもわかるのね」
繋いだ手がふと離れていく。
手持ち無沙汰になった手を見つめていると、右腕に重み。
彼女に腕を絡められて、歩き出す。
今度は自分が引っ張られるようについていく。
「なぁんだかなー」
疲れた、とつぶやく彼女の重みを右半身に感じる。
男と話す彼女の顔を見たときに、なんとなく予想はついていた。
「どうせ、行ったらサプライズ合コンやった、とかそんなんやろ」
ため息をつく彼女にそういうと、目を丸くする。
「えーそこまでわかるの。エスパーじゃん」
「りつこがやりそうなことやわ」
「ほんと油断も隙もないよ。フレンチとか怪しいと思った」
美味しそうだったのに、なんか味しなかったわ、とぶーぶーいう。
それでも、余裕をなくした自分に廉は心の中で苛立っていた。
「....そんで、どうやったん」
「ん？」
聞くか聞くまいか、迷って、結局聞いてしまうのが廉の性格だ。
「いや、さっきの相手。どうやったん」
自分の声が小さくなるのは気付いてた。
確認しないといられない自分の情けなさにも。
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まな - 一気読みしてしまいました！！無理のない頻度での投稿、楽しみにしてますね！ (2020年4月14日 0時) (
レス) id: 9c457a3c27 (このIDを非表示/違反報告)
はなうたこ(プロフ) - Nano.さん» ありがとうございます...！なるべくサクサクいけるよう頑張ります...！ (2020年3月17日 18時) (レス) id: 186150732f (このIDを非表示/違反報告)
Nano.(プロフ) - とても楽しくみています。次の更新をお待ちしています！ (2020年3月16日 12時) (レス) id: 03ff967dd1 (このIDを非表示/違反報告)
はなうたこ(プロフ) - ななみさん» ありがとうございます！このシーンから初めに思いついて描き始めたので嬉しいです！ (2020年2月19日 14時) (レス) id: 186150732f (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - ど、ドキドキしました。キスしちゃうかと思った。廉君にとって、血のつながりはないけど、誰よりも何よりも、きっと自分よりも大切な存在が、お姉さんなんですね。すごく切なくて、大切さがひしひしと伝わってきました。 (2020年2月17日 15時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はなこ | 作成日時：2020年2月13日 12時
