ぼくはねこ。（tkxin・ytxym）

＝モフモフ・２５＝ ページ25

「＿＿＿いつも嫌な目にあうんです。」


「嫌な目に・・」

グッと手の平を握って話す・・

あの頃を思ってまた途方に暮れる＿＿＿


「親戚の家をたらい回しにされて・・そしてすぐ
　追い出される。・・誘惑してるって言われ＿＿
　忌み嫌われ、気持ち悪がられる＿＿＿」


「涼介君＿＿＿」


「やっと＿＿やっと１人でやっと暮らせる様になっても
　・・今度は職場で・・上司に必ず・・」


「・・必ずセクハラされるんだね、涼介君は」


「ええ、そうなんです。
　皆が決まって言うのは、お前のせいで、
　お前がいけないんだってっ＿＿＿＿。」



「涼介君ッッ＿＿＿＿。」


いつもの落ち着いた声よりも

強い印象の声色で裕翔先生はオレを呼んだ。


「涼介君・・・。」

オレの強く握っていた手に

そっと優しい大きな手を置いて

裕翔先生は言ってくれる。真剣な瞳で＿＿＿


「君は＿＿＿涼介君は何も悪くないっ。
　な、そうだろう？そんな卑怯な事をいう人間の
　言う事を信じちゃ、聞いたら駄目だっ＿＿＿」


「せんせぃ・・。」


「それは、その言葉は・・
　涼介君に必要の無い言葉だよ。ね？」


「ひつよぅの・なぃ・・」


「そうだよ涼介君。
　君に必要な言葉はもっと違う所にあるだろ？
　慧ちゃんが一生懸命鳴いてくれる声だって＿＿＿
　君を支えてくれる友人、侑李君だって居るんだ。」


「けぃ・・。ゆぅり・・。」


「ああ。その鳴き声を、優しい声に
　もっと頼ればいいんだよ。」


「頼る・・。」


「ね、涼介君。その必要な言葉を代弁して
　俺から、俺の口から言ってもいいかな？」


「裕翔せんせぃ？」


「ふふ。慧ちゃんと侑李君の気持ちを
　代表して言わせて貰うよ。」


「んぅ・・？」


「ね、涼介。もっと、もっとぼく達を頼って？
　君を笑顔にしたいよ。君の笑顔を守りたい
　もっと、ずっと笑顔にしたいんだ＿＿＿」


強く強く、優しい声。

強く強く、優しい言葉。

強く強く、優しく大きな手。


「ね、涼介・・嫌わないで。
　美しい君を嫌わないで欲しい＿＿＿
　誇りを持って、ねぇ。君は素敵だよ。
　とても素敵なんだ＿＿見惚れるくらいにね。
　ね・・涼介。」



強く優しい声で言ってくれた裕翔先生に続いて

いつの間にかそばに居た慧と雄也くんが

「にゃぁぁ〜〜っっ。」と強く優しく

「ワンッ。」と強く優しく鳴いた＿＿＿＿＿。



裕翔先生がクスっと笑って

「ほら＿＿ふふふ
　２人もそー言ってるよ。ね？涼介君。」

＝モフモフ・２６＝→←＝モフモフ・２４＝

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す