あなたと 【プロ野球短編集】

杉谷拳士『小さな恋のうた』(MONGOL800) ページ6

「初めまして、Aっていいます。」

「……初めまして」


Aと出会ったのは、先輩たちの飲み会の場だった。

明るくてよく気が利き、なにより可愛かったこともあってか、俺が恋に落ちるのは間もなかった。



「あんなこともあったんだよね」


ある飲み会の帰り道、Aが唐突に話し始めた。


「どしたんだよ急に」

「いつ告白してくれるんだろ？って、あの時は不安で一杯だったんだからね」


そう

初めて会った日から、Aは俺の気持ちを全部見抜いてた。


「たまにさ、拳士より遥輝君のほうが良かったのかもって思う時あったし」

「は？？嘘だろ？？」


急な告白に頭が真っ白になる。

それを察したのか、Aは俺の手をそっと握って言った。


「でもさ、やっぱり私にとって一番大事な人ほど、すぐ傍にいるものだなあって」

「……!!」

「なにその顔」


返す言葉が見当たらず、思わずAを抱きしめた。


「……じゃあ、ずっと傍にいていいんだな？」

「当たり前でしょ。拳士は私の元気印でもあるんだから。」







「…結婚……してください」






「…はい」








夢なら覚めないで欲しい。


今日やっと、あなたと過ごしてきた日々が、永遠に変わった。






「じゃあ次は、一軍登録を永遠にしてください」





「……やってやろうじゃねえか!!!」






・
すみません、最後杉谷っぽさを出したくてぶっこみました。

……あれ？杉谷っぽさってなんだろ？

山崎晃太郎『悲しみなんて笑い飛ばせ』(FUNKY MONKEY BABYS)→←上本博紀『HOME』(B'z)

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