僕の声～いつも一緒に～２ (ページ5)

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鼓動ページ5

スタジオを出て、あたりを見回しながら廊下を歩いていると壁を叩くような鈍い音がする。
音のする方へ向かうと、更衣室の扉が開いていた。
中を覗くと、洗面台でキュヒョンが頭から水をかぶって塗れたまま目の前の鏡を叩いている。

KH 『くっ・・・』

『ちょっ、ちょっと・・・キュヒョン君どうしたの？！タオルは？！』

キュヒョン君は私の声にびっくりしたようで、こちらを振り向いた。

KH 『あ・・・』

『何やってんの？！早く拭かないと！ツアー前に風邪引いたらどうすんのよ！！』

更衣室の中を見回してタオルを探そうとすると、腕を引っ張られて抱きしめられる。

勢いで２人とも床に倒れこんでしまった。

『痛っ・・・ちょっと、どうし・・・』

KH 『ほんとに・・・本物？』

『え・・・』

KH 『・・・幽霊じゃない？』

顔を両手で挟まれて、潤んだ目で見つめられる。

『うん・・・本物。本物のアジュンマだよ』

キュヒョンは安心したような顔になった。

KH 『ずっと・・・気がどうかなりそうだったよ。もう戻って来ないかと思った』

『大げさねぇ。ちょっと４、５日、日本に行ってただけじゃない。ほら、早く拭かないと』

KH 『もう少しこのままでいてよ』

さらに強く抱きしめられる。

どれぐらいの時間そうしていただろう。たぶん２，３分。だけどとても長く感じた。
自分の鼓動の音だけが耳に響いていた。

キュヒョン君が腕を緩めたので、私はその隙に立ち上がり、タオルを取りに行った。

『ほら、風邪引いちゃうから』

私はできるだけ、平静を装った。
そして、床に座り込んでいるキュヒョン君の頭をもしゃもしゃと拭き始めた。

KH 『・・・いて』

『何？聞こえない』

KH 『・・・ずっと一緒にいてよ』