母親 ページ6
「全く。使用人が何を言ってるのかしら」
声のする方へ視線を向けると、そこにはカルトちゃんとその隣に声の主、洋風なドレスを身にまとった女性がいた。
女性のは目元に機械式のスコープを付けており顔は包帯で包まれている。
「まるで私たちがキルをいじめてるみたいに。ただのクソ見習のくせして失礼な」
女性はこちらに顔を向け口元しか見えないが微笑みを浮かべた。
「あなたがゴンとAね。イルミから話は聞いてます。3週間前からあなた方が庭内に来ていることもキルに言ってありますよ。キルからのメッセージをそのまま伝えましょう」
――来てくれてありがとう。すげーうれしいよ
――でも、今は会えない
――ごめんな
その真意は分からないが、わざわざここへ伝えに来たということはそれほどの意味があると受け取っておかしくない。
「紹介が遅れましたね。私、キルアの母です。この子はカルト」
その女性はキルアくんの母なようだが、ゴンくんは何も言わず執事さんの方を向き怪我の様子を確認した。
彼女の怪我は浅く、そこまで重症ではない。
「気絶してるだけだよ」
「良かった」
そして、ゴンくんはキルアくんの母を見て何故会えないのか問いかけた。
「独房にいるからです。キルは私を刺し、兄を刺し、家を飛び出しました。しかし反省し自ら戻ってきました」
「今は自分の意思で独房に入ってます。ですからキルアがいつそこから出てくるかは…」
すると、ピキという機械音が聞こえてきた。どうやら彼女のつけているスコープに何かあったようだ。
「まぁ、お義父様ったらなんでジャマするの！？だめよ！まだ、つないでおかなくちゃ」
「全く、もう。なんてこと」
1人で慌てている様子を少し不審に思いながらも、様子を見ているとキルアくんの母はくるりと振り返りスカートの裾を摘んだ。
「私、急用ができました。では、これで。また遊びにいらしてね」
「待って下さい。オレ達、あと10日くらいこの街にいます。キルアくんにそう伝えて下さい」
「わかりました。言っておきましょう。それでは…」
そのまま彼女は走り去っていき、ついて行かずその場に残ったカルトちゃんはこちらを見ていた。
その表情は何か我慢しているような、少し悲しそうな顔だった。
「カルトちゃん何してるの。早くいらっしゃい」
「はい。お母様」
そして、木々の生い茂った道を走り去る後ろ姿を私たちは何も言わずに見つめていた。
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僕です。(プロフ) - はにゃ？さん» ありがとうございます！そう言って貰えて嬉しいです😊応援に応えられるよう更新頑張りますね！ (2023年4月15日 15時) (
レス) id: 44f4c2417a (このIDを非表示/違反報告)
はにゃ？ - とても読みやすいです。これからも応援してます。 (2023年4月15日 2時) (レス) id: 1a9c7abd60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：僕です。 | 作成日時：2023年4月11日 17時
