醜い私 ページ28
「最期に、言いたいことはある？」
普段は聞かない一言を、彼女にだけは聞いてみた。
それに深い意味はない。その言葉に何か期待をしているのか、自分でも分からない。
だけど、知らないフリをしているだけで本心では彼女なら言ってくれると思ったのだろう。
「愛してる」
今まで誰にも言われたことのない。愛しているの言葉を。
「ライラ」
――だけどそれは、大きな勘違いだった。
彼女が見ていた人は、最初から私じゃない。
私と弟のライラを、ラビーさんはずっと重ねて見ていた。アルバムに写っている、私と似た容姿を持つ少年を見た時から気づいていたんだ。
「私はライラじゃないわよ。ラビーさん」
私は自身の心を温めてくれる人が欲しかったわけじゃない。
――誰かに、愛されたかったんだ。
何も物言わなくなった美しい屍を見下ろしながら、私はナイフを持ち直し自身の寝室へと向かった。
この部屋はソファでいいと言った私にラビーさんが半強制的に貸し与えてくれたベットが置いてある。そして、彼女の弟であるライラという少年の部屋でもあるのだ。
そこにぽつんと置いてあるは1つのぬいぐるみ。
肌触りがよくふわふわした白い生地に宝石のように光り輝いた水色の瞳。ぬいぐるみに付いた長い耳はその気高さを表しているようで見ていて眩しいくらいだ。
「それが私に似ている。ねぇ」
ぬいぐるみをそっと手に持ちナイフを突きつけると、思ったよりもアッサリ綿が出てきた。
腹を裂かれてもなお美しさを保っているそのぬいぐるみに嫌気がさし何度も何度も切りつけた。まるで、子供らしくあれなかった誰かを責め立てるように。
気がついたとき、私の手に残ったものは血で綿が張り付いたナイフと大量の布切れだけ。
だけど、これでいいと思った。
醜い私には、これくらいが丁度いい。
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僕です。(プロフ) - はにゃ？さん» ありがとうございます！そう言って貰えて嬉しいです😊応援に応えられるよう更新頑張りますね！ (2023年4月15日 15時) (
レス) id: 44f4c2417a (このIDを非表示/違反報告)
はにゃ？ - とても読みやすいです。これからも応援してます。 (2023年4月15日 2時) (レス) id: 1a9c7abd60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：僕です。 | 作成日時：2023年4月11日 17時
