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最後の修行 ページ27

だが、それに気づいたところで私の生活は変わらなかった。

午前中は念や暗殺術の修行をして、その後はラビーさんと当たり障りのない会話を、夜はあのぬいぐるみを抱いて眠る。ただそれだけだ。

それだけの日々が、私にとっての当たり前になっていた。


「ラビーさん、次は...」

「次は本当の暗殺。それが最後だよ」

「いいけど、師匠が弟子に殺しを課題とするなんて何処の暗殺一家よ」

「あはは!それもそうだね」


殺人鬼である私に殺 しを課題とするなんて、相当強い相手なのだろうか。


「相手は私。Aが私を殺 して」

「――えっ?」


確かに彼女はこう言った、"Aが私を殺 して"と。

そんなの願ってもない事だ。やるに決まっている。

なのに、何故だろう。何故こんなにも迷っているのだろうか。

ラビーさんを殺 したいとは前々から思っていたことであり念を覚えた訳の一つでもある。だけど、殺 したとしてその後のことも考えてしまうのだ。

前と同じ生活に戻るだけ。それだけなのに今の生活を手離したくないと思ってしまう。

――ラビーさんを殺 したい反面、これからも一緒に居たいと思っているのだ。


「...いいの?」

「いいの。どうせいつか死 ぬなら、Aに殺 されたいから」

「それはっ...」


私になら殺されてもいいと思っている証拠なのだろうか。


「分かったわ。残念だけど、ここでお別れね」


いつもこうだ。言いたいことがあっても望まぬことを口走ってしまう。

諦めた私は手にナイフを構えラビーさんの元へ一瞬にして近づいた。だけど、驚くくらいに彼女は隙だらけなのだ。

これじゃいつでも殺せる。


「弟子相手だから舐めているのかしら?師匠さん」

「違うよ。抵抗も反撃もしない。ただ殺してもらうだけ」

「ふざけないで頂戴。それじゃ今までの修行の意味が無いわ」


私は強くなりたくて念を覚えた。だから、最後の修行は互いに本気でぶつかりたい。

これじゃ、ただの殺しだ。


「言ったでしょ?これは殺し合いじゃなくて暗殺だって」

「だからって!」

「貴方の実力は、師匠である私が保証する」


ダメだ。この人は止められない。私には止める資格がない。

ならせめて、最期くらい楽に終わらせないと。


「ここを強く打てば一瞬よ。目立つ傷も残らないくらいにね」


私はラビーさんの首にナイフの柄尻を突きつけ手に力を入れた。

これでいいんだ。これで彼女は私のモノになる。

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僕です。(プロフ) - はにゃ?さん» ありがとうございます!そう言って貰えて嬉しいです😊応援に応えられるよう更新頑張りますね! (2023年4月15日 15時) (レス) id: 44f4c2417a (このIDを非表示/違反報告)
はにゃ? - とても読みやすいです。これからも応援してます。 (2023年4月15日 2時) (レス) id: 1a9c7abd60 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:僕です。 | 作成日時:2023年4月11日 17時

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