ハンターという名の怪物 ページ19
それは私が施設を出て街中を歩いていた時だった。
水色の長く綺麗な髪をひとまとまりにし一定の速度で歩くその姿はモデルのようだ。
――私はそんな彼女を見て、今すぐにこの人が欲しいと、そう思った。
「お姉さんっ、助けてくれませんか？」
少し低めの声に、肩にも付かないほどの短い髪、それが私の"今の"姿。
今日は腕に傷を作り親の虐待から逃げてきた子供を演じている。
「僕、お父さんとお母さんに沢山痛いことされて…」
住んでいた場所を捨て居場所をなくし身寄りのない私には、この生き方しかないんだ。
泣き真似だって随分と上手くなった。表情もとり繕える。
これで騙されない人は、いつも居ない。
「そっか。なら一度警察に」
「ダメっ！警察は嫌だよ…何もしてくれないんだ」
すると女性は屈んでこちらに目線を合わせた。
「分かった。お姉さんに任せなさい」
「だってお姉さんは」
そこで私は、初めて知った。
「ハンターなんだから」
――ハンターという、一筋縄じゃいかない怪物を
あれから私はいつものパターン通りこの人の家に泊めてもらうことになった。
日付的に、数日泊まっても問題は無さそうだ。
ここら辺は警察が少なく犯罪を起こしやすい。なんの問題もなく今回も終わるだろう。
「お姉さんの名前は…なんですか」
「私はラビリンス。ラビリンス＝アイビーよ」
そのラビリンスと名乗る女性は明るく能天気で、笑顔の可愛らしい人だった。
殺してしまえばその笑顔も見ることは出来ないが、それでも彼女が欲しい。温かいまま終わらせてあげたい。と、そう思っていた。
「僕はアイラ、家名は…分かりません」
「アイラ、アイラくんね。ふふ、私の弟と似た名前だわ」
「弟？」
名前はもちろん偽名だ。
弟。それは彼女の大切なものを壊すにあたって参考になる人物なはずだ。情報を聞いて損は無い。
「どんな人なんですか？」
「珍しいこと聞くね。興味を持つ人なんて居なかったから意外」
「すみません、踏み込んだことを」
もう少し時間を置いて聞くべき話題だったかもれしない。場所が場所だから気が緩んでいた。次は違和感なく聞き出さないと。
「いいよ。あの子はね、負けず嫌いでとっても元気な弟だった、いつも姉さん姉さんって着いてきて」
言い方が過去形なことから訳ありなのだろうと感じ取り、それ以上聞くことはよした。殺す相手であったとしても無理に話を聞く気はない。
「丁度、君と同じくらいの年で亡くなったの」
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僕です。(プロフ) - はにゃ？さん» ありがとうございます！そう言って貰えて嬉しいです😊応援に応えられるよう更新頑張りますね！ (2023年4月15日 15時) (
レス) id: 44f4c2417a (このIDを非表示/違反報告)
はにゃ？ - とても読みやすいです。これからも応援してます。 (2023年4月15日 2時) (レス) id: 1a9c7abd60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：僕です。 | 作成日時：2023年4月11日 17時
