５.本当に性格が悪いのは ページ5
「私、プロ野球ファンかぶれな人苦手なんですよ」
「それ私のこと言ってるんですか？」
哲人を居酒屋で待っている間、いま正に修羅場
なぜ関係ない人がいるかと言うと、
百合の後輩綾ちゃんを飲みに誘ったところをもう一人の後輩ももかちゃんに聞かれ、誘わざるを得なかったらしい。
それはいいんだけど……
このももかって子、めっちゃ性格悪い！！
綾ちゃんが「私、ヤクルトの大ファンなんです！私なんかを誘っていただき本当にありがとうございました！」と感謝の意を示してくれたところ、
ももかちゃんが「え、野球好きだったの？」と割って入った。
遠回しに「どうせにわかでしょ？今日来たのもどうせ男目的じゃん」と言っている風に聞こえる言葉を次々と投げ掛ける。
「やっぱこの子誘わん方がよかったね」
百合が私の耳元で呟いた。
ああ、早く哲人来ないかな……
「私この前カープのユニフォーム着た綾見たんだけど、ヤクルトファンだったんだね」
「あの日はカープファンのお父さんに連れられて……」
「私だったらヤクルト貫くかな〜」
もう聞いてらんない
美人をひいきしてるわけじゃなくて、普通に腹立ってきた。
「あ、ちょっといいかな？」
「なんでしょう？」
そんな綺麗な笑顔作れるのは、私が哲人と友達だから？
「さっきからにわかファンとか選手好きファンとかを叩いてるけど、大事なのは応援する気持ちじゃないかな？」
「別に叩いてるわけじゃないですよ！
ただ、本気なファンからしたらチケットの倍率上がっちゃうし、迷惑だから……」
「なんで綾ちゃんを本気なファンだと思わないの？」
「かけもちとか論外ですよ」
「なんでそう思うの？」
「質問攻めですか」
「チケットとれない不満綾ちゃんにぶつけるのやめなよ。……本気のプロ野球ファンから見て不快」
「…………」
私のこの行為は更に場を凍らせた。
綾ちゃんは申し訳なさそうに顔を伏せている。
「お待たせ！あれ？なんか人数多い？」
やっと来たか
「哲人遅い」
すると哲人の後ろから、男の人が顔を覗かせた。
「てかなんか暗いで？」
「川端さん？」
久しぶりだ！
と言っても会うの2回目だけど。
どうせならこの状況で会いたくなかったな……
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作者名：青 | 作成日時：2017年12月25日 18時
