２.憂鬱 ページ2
目が覚めると外から土砂降りの雨の音が聞こえてきた。
最悪だ。
ただでさえテスト返しで憂鬱なのに、今日は電車で行かないといけない。
……自分の車買おうかな、ほんと
そしたらだいぶ楽になるよな
支度を済ませ外に出ると、ちょうど隣のドアが開いた。
「おはよ」
「なんや、今日はえらい早いんやな」
いいなあ午後からの人は。
てか今日試合あんのか？
「見ての通り雨なんで電車通勤ですよ」
「なんでキレてんねや」と鼻で笑われ、少々頭にきた次第。
「送ってってやろうか？」
マジすか哲人さん
さっきのこと許したる
「え、ほんま？」
「ええよええよ、どうせ練習午後からやし」
「ありがとう！」
なんか今日優しくてキモいんだけど
まあ、送ってくれるに越したことはない！
下に降りて、哲人の車の助手席に乗り込む。
また車代えたのか……
まったく、いいよな金持ちは
「前のが良かった」
「ほんま？てかそいえば、A車買わんのん？」
「アウディ乗りたいから今お金貯めてんの！」
アウディのq5……小さい頃からずっと憧れてきた。
お父さんは何故か頑なにマツダ車に乗り続けてたからか、外車への思いは昔から強い。
「アウディか……渋いな」
「まあ現実見たら、良くてアクセラかな」
「妙に現実的やん」
独り身だし……ね
「ま、夢追うこと大切やし、車なんて俺がいつでも乗せてやるよ」
なんか今日の哲人おかしい
哲人ってこんな優しかったっけ？
「そりゃどうも」
「なんか反応薄い」
謝状の他にどう反応しろっていうの
「ほら、着いたで。見られんうちにはよ降り」
「ありがと！今日の試合も頑張って！」
ドアを閉めると、哲人は手をふりながら車を走らせていった。
なんだかテストの憂鬱も、いつのまにか消えていた。
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作者名：青 | 作成日時：2017年12月25日 18時
