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侑の怒った顔を見るのは、なにも今日が初めてではなかった。その上Aは、実の所、侑が本気で怒っていたとしても怖いと思った事がなかった。
「……」
「『なんで』は禁止、ダメなもんはダメや」
「まだ何も言うとらん」
「二度とそないな事言わんと、約束しなさい」
「………は…？」
「返事は？」
「それは……」
いつの間にか目先にまで詰め寄って来た侑の大きな瞳が、状況を上手く理解できないAを貫くように見入る。言葉なくとも、その目がこれ以上手向かうことを許してはくれない。それでもAには引けない理由があった。
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「でも、治と約束してしもた」
「あ？」
侑の圧に息が詰まりそうになりながらもAは訴えた。半ばせびる様な気持ちだった。
「治にな………教えたんねん、本にも書いてない海のこと」
「………っ！」
「侑もまだ知らんこと……！私がっ………」
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次の瞬間、Aは咄嗟に自分の右頬を抑えた。一瞬の衝撃のあと、そこは嫌に熱を帯び、口内は気持ちの悪い味で満たされた。何が起きたのか分からなかった。驚きで目を大きく見開くが、今までに感じたことのないほどの嫌気がAを支配した。
侑をキッと睨むと、彼は先程よりも低い声で、吐き捨てるように言った。
「お前が、…そんな事する必要ないわ」
「………」
「なんやその顔は。余計な事しとらんと、大人しくしとけばええって言うとんねん」
侑の言葉にAは頭が真っ白になった。初めて自分が何を感じているのか分からなくなった。
「なんで……そんな事」
反論しかけて、その続きは出てこなかった。今しがた放たれたその言葉の意味を徐々に理解できた時、そのショックはあまりにも大きかった。
たとえ海に行くことを否定されたとしても、自分の野望までを否定されるとは夢にも思っていなかったのだ。
理解者だと思っていた侑に
誰よりも研究熱心な侑に
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�爐發辰噺�くなりや。そしたらあと10年くらいしたら、俺の助手にしたる。��
先日の侑の言葉がAの頭の中で何度も響き、涙が溢れた。
「嘘つき…」
「………A」
差し伸べられた侑の手を払うかのように、Aは言葉の刃を振るった。
「侑なんて大っ嫌いやあ！！！」
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兎海(プロフ) - しらたまさん» わあ、嬉しいです…！ありがとうございます！ (2020年10月16日 0時) (
レス) id: 7a66186871 (このIDを非表示/違反報告)
しらたま - え、すごい好きですこの作品！！神ですか？神なんすか！？ (2020年10月15日 21時) (レス) id: 11f81e1c6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：兎海 | 作成日時：2020年9月23日 20時
