ひとり娘 ページ4
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「じゃあ、行ってきます」
「体に気をつけて。何かあったら…いや、なくても電話してきなさい。あ、お守り持った？」
「持ったよ、ありがとう。」
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駅の新幹線の改札口にて、最後まで見送ってくれた母にしばしの別れを告げてわたしは重いキャリーケースをずるずると引きながら故郷を後にした。
向かう先は兵庫県神戸市。1日をかけての大移動だ。
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新幹線に乗り込むとふう、と溜息をついた。新幹線は悠々と走り、あっという間に見慣れない関東の景色に移り変わっていった。隣のショルダーバッグには、お母さんが持たせてくれたおいなりさんのお弁当と厄除けのお守りが入っている。
厄除けのお守りは小さい頃から肌身離さず持っているいわば私の必需品である。
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わたしの家系は昔から金狐と呼ばれるお狐様を祀っている。
そして何故だかこの家系の純正な血を持つ女性には、成人するとそのお狐様の妖力が強く宿る可能性があるという言い伝えがあり、その妖力は時に人間に悪さをする野狐や、恐ろしい憑物を呼び寄せてしまうこともあるという。
久しぶりの一人娘としてこの家系に生まれた私は、それはそれは過保護に育てられた。やれお守りだお祈りだ、お祓いだと物心つく前からお狐様と両親をはじめとした血の繋がりの濃い親族に手厚く育てられてきたのだった。
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その他詳しいことはよくわからないが、私も怖い思いはしたくないので昔から両親や親族の言いつけは忠実に守るようにしてきた。
そしてなにより私がそんな環境の中、捻くれる余裕もなかった理由の一つである一昨年死んだ祖母がしてくれた狐の憑物にまつわる怖い話は今でもトラウマな程恐ろしい。
…
(ぐうぅ)
そんな事を悶々と考えているうちにお腹がすいてきた。母の持たせてくれたおいなりさんを食べようとショルダーバックを開け、プラスチックのパックを取り出した。
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「………あれ？」
鞄に入れる時は３つ入っていたおいなりさんが１つ、忽然と姿を消していた。
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兎海(プロフ) - kamui926さん» 嬉しいです！ありがとうございます(^^) (2021年1月11日 13時) (
レス) id: 7a66186871 (このIDを非表示/違反報告)
kamui926(プロフ) - この小説すごく良かったです。 (2021年1月8日 21時) (レス) id: 1fab38a7fb (このIDを非表示/違反報告)
兎海(プロフ) - もすけさん» 頑張ります！読んでくださりありがとうございます(=^^=) (2020年8月20日 10時) (レス) id: 7a66186871 (このIDを非表示/違反報告)
もすけ - はじめまして！更新されるたび楽しく読ませていただいています！更新これからも頑張ってください(^^) (2020年8月20日 0時) (レス) id: 77771da255 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：兎海 | 作成日時：2020年8月1日 2時
