お狐様 ページ3
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「Aは今世でもほーーんまにべっぴんさんやなぁ…!」
油揚げのお供えをして丁寧に手を合わせたAを俺は、目の前でにこにこと拝んでいた。小さい頃から毎日毎日、めんどくさがりもせずお祈りをしてくれて俺はなんて幸福な狐だろうかと弟子の狐達に話しては少し引かれ続けて約21年が経った。すなわち、前世で俺と番になった22歳まであと1年を切っている。
あと1年で彼女をまた俺のものに出来るのだ。
ああ、こんな可愛らしい娘の番をできると思うと顔がにやけてしまう。
とは言っても、俺が彼女の前世でアプローチをかけたのと同じように、俺から22になったばかりの今世の彼女に番の約束を再び持ちかけなければならない。そういう決まりなのだ。
出来なかった場合は、俺もAも死んでしまう。これも、そういう決まりなのだ。
「ま、別になーんも心配やないけどな。俺イケメンやし〜」
そんな事を言っているとまた弟子達に冷ややかな目で見られた。
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「侑様………そんな調子でAさんとほんまにちゃんとまた番になれるんか、私達は心配でなりません」
「は?なんやねんそれ、大丈夫やし」
「女の子には優しく、ですよ。自分勝手な考えを押し付けてはいけませんからね?」
「分かってますう」
「そんな事言うて、Aさんとこの家系と、私達の命を背負っている自覚はほんまにあります?この家がみるみる廃れて行った時には、私達は侑様のその自分ファーストな考え方を軽蔑しながら死にますからね」
…
弟子のくせに、縁起でもないことを言ってくれる。俺かて、こいつらが俺の留守中に変な奴をこの家に招き入れないか心配である。だが、無駄口をきけるくらいなら心配はなかろう。
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そう、俺は彼女と番になる為、彼女と共に本日この家を出る事になっている。
何百年の時を経て、最愛の彼女が再びこの世に生まれてきてくれた限り、今世の彼女と家系、弟子達を護り抜く事が俺の使命である。
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兎海(プロフ) - kamui926さん» 嬉しいです!ありがとうございます(^^) (2021年1月11日 13時) (レス) id: 7a66186871 (このIDを非表示/違反報告)
kamui926(プロフ) - この小説すごく良かったです。 (2021年1月8日 21時) (レス) id: 1fab38a7fb (このIDを非表示/違反報告)
兎海(プロフ) - もすけさん» 頑張ります!読んでくださりありがとうございます(=^^=) (2020年8月20日 10時) (レス) id: 7a66186871 (このIDを非表示/違反報告)
もすけ - はじめまして!更新されるたび楽しく読ませていただいています!更新これからも頑張ってください(^^) (2020年8月20日 0時) (レス) id: 77771da255 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:兎海 | 作成日時:2020年8月1日 2時