検索窓
今日:1 hit、昨日:7 hit、合計:12,058 hit

#23 ページ23

「...ん、」

朦朧とする頭。

ぼーっと空中を見ていると、あることに気づく。

ここ、病院?

無駄に重くて暑い布団を退かし、上半身だけ起き上がらせる。

両腕の近くにある柵に重心をかけて周りを見渡す。

右隣にばぁくん、てるちゃん、しゆちゃ。

左隣にそうまくん、まひくん、ゆきむ。

誰も彼も深刻そうな顔でスマホをいじっていたり、俯いていたり、僕の方を見ていたりする。

t「あ...!」

so「A...。」

v「!!」

m「っと...ナースコール...、」

この病室には聞こえない小さな音でナースコールが鳴る。

安堵に染まったこの空間。

その間にも僕の中に疑問は募っていった

何で病院?

何で騎士A揃ってんの?

何で僕は運ばれたんだっけ?

何でもう夕暮れなんだろう、

さっきまで朝だったのに?

思い出せない。

ここ数時間の記憶。

座っているのにくわんくわんと頭の中から音が響く。

目眩がしてきた。

横たわってはいけないと頭で分かっていながらも、ほぼ無意識で横になる。

同タイミングでドアが開き、人が来る。

母「A、起きたの!?」

寝起きでぼんやりとしていた頭が覚める。

目を見開いた。

手が震え始める。

外を見ると、母親の勤めている病院と言う事に気が付いた。

どうしてもっと早く気が付かなかったのだろう。

今すぐ窓から逃げ出したい気分だった。

母親と一緒の空間で息をする事が苦痛だ。

ッ逃げよう!

騎士Aと母親が喋っていて、十分逃げられる隙があったので恐る恐る、ベッドから床に着地しスリッパを履く。

柵を上手く利用し、助走代わりでぐっと手首に力を入れ前に踏み出す。

y「っえ、」

逃げろ逃げろ逃げろ!

si「逃げッ…!」

母「A!!」

名前を呼ぶな。

他は何も考えられずにただひたすら額に汗を浮かべながら走るだけだった。

この病棟の造りは覚えている。

入口に向かう。

まず右に曲がって、

so「A!止まれ!」

壁を掴み、転ぶ直前でターンする。

後は真っ直ぐ、

v「くっそ、アイツ速!」

エレベーターのボタンを連打し、ドアが早く開く事を願って待つ。

意外と後ろが追いついてきていたので、焦りが加わる。

エレベーターの上にある階表示は僕の居る病棟の1つ上にあった。

m「もうすぐで追いつくッ」

t「まひとくん行け!」

まひくんが全力で手を伸ばし、僕を触ろうとする。

ギリギリでドアが開き、思い切り体を中に入れ込む。

閉じるボタンを連打し、捕まらないように1番端に移動する。

#24→←#22



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (17 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
48人がお気に入り
設定タグ:騎士A
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

花音(プロフ) - 初めまして!私も同じ気持ちです( TДT)ゆっくり休んで下さいね( ;∀;) (2022年5月17日 15時) (レス) @page26 id: c9954f1e86 (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 私もです…(´;ω;`) 受け入れられる気がしないです… (2022年5月16日 20時) (レス) @page26 id: 32504c8e03 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - どタイプです。さいこうです。ありがとうございます😭 (2022年5月14日 10時) (レス) @page24 id: e34a02d390 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:紫騎。 | 作成日時:2022年4月16日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。