彼女の大事な、昔の話。 ページ10
安元さんをヒロさんと呼ぶことになり、お互いに慣れない呼び方にちょっと照れくさくなりながら私達はおうちデートと洒落込んでいた。
醜態の翌日にお昼を作りに来てそのまま告白、なんてやけに展開が早いなと思ったら、今日は安元さんもお休みだったとか。この機会を逃したら次がいつになるか分からない、と決断したらしい。
「そういえば…Aはどうして声優になったの？」
二人並んでソファに座りまったりしていると、安元さんが不意にそう切り出した。
「どうして…ですか？」
「いや、質問にそんな深い意味はないんだけどさ。初めてAと一緒に仕事したときのこと思い出して。短期間で売れ出した期待の新星！なんて、チープだけど当時現場で話題になってて」
「えっ、そうなんですか？！うわ…全然知らなかった」
「変なプレッシャーを掛けないようにって話題にしないようにみんなで配慮してたからね。初めて一緒に収録したときのことが印象的で、未だに覚えてるんだ。」
「え。もう随分前の話ですよ？」
「全然覚えてる。びっくりしたんだ、まだ若手なのに凄い子だなって。言葉選びに悩むけど…Aが声を当てたキャラって、みんな魅力的なんだよね。出来上がってる、というか、個性が光ってるというか」
わー…そんな昔から私のこと気に掛けてくれてたんだ。なんか嬉し恥ずかしいな、昔の私はそれでもまだまだ未熟だったから。まあ今もまだ未熟だけど。
…そうだなあ。安元さんになら、話してもいいかもしれないな。あんまり楽しい話じゃないから、今まで聞かれてもつい差し障りのない返答をしちゃってたんだけど。
「…その、あんまり重く考えないでほしいんですけど。飽くまでAAを構成する情報のひとつとして捉えてほしいんですけど」
「え、うん…」
「…私、生まれつき子宮がないんです。」
「……え」
「高校一年生になったばかりの頃。周りがもうとっくに初経を迎えて訪れる生理に慣れてきてた頃で、でも私、その頃まだ初経もきてなかったんです。周りの話にも乗れないし隠すのも限界で、母に相談して、産婦人科に行って…その時、私の身体の異常を聞かされました。」
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茨(プロフ) - フェチさん» フェチさんの文章、すごく読み易くてとても好きです...！花江くんのお話も読ませて頂いておりますが、どちらも素敵なお話で読んでいてすごく楽しい気持ちになります！無理せずフェチさんのペースで更新待ってますね、突然のコメント大変失礼致しました！ (2020年6月1日 20時) (
レス) id: 29dea8a9b5 (このIDを非表示/違反報告)
フェチ(プロフ) - 茨さん» コメントありがとうございます！安元さんお相手の小説少なくて完全に自給自足でしたが気に入ってくださる方いて良かったです…！ (2020年6月1日 20時) (レス) id: 0706dee424 (このIDを非表示/違反報告)
茨(プロフ) - ウワ...めちゃすこでした... (2020年6月1日 20時) (レス) id: 29dea8a9b5 (このIDを非表示/違反報告)
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