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「私に子宮がないなんて思いもしなかった。膣も卵巣も卵管もあるのに、子宮だけが欠けていた。お医者さんから説明されたとき、頭が真っ白になりました。子供ながらに将来を夢描いていて、かっこいい旦那さんと、女の子と男の子が一人ずつ、なんて。ショックで暫く学校にも行けなかった」
なで、と子宮があるはずだった下腹部を撫でる。
今はもう吹っ切れているけれど、そんなところからここまで来たのだから私は頑張れているのだと胸を張れる。
「お母さんみたいな母になりたいと、ずっと思っていました。優しくて大好きな母。その時だって、ちゃんと生んであげられなくてごめんねって泣かれちゃって。お母さんが精一杯頑張っていたこと知っていたから、お母さんが悪いなんて思えなかった。ただただ、私は運が悪かった」
今の私がいるのは、他ならぬ母のおかげだ。夜泣きがひどかった、なんなら昼間もよく泣いてた、なんて当時のことをからかうように言われては、私は母に感謝した。大変な思いを沢山して、投げ出したくなることだって多かっただろうに、それでも私を育ててくれた。
「…私に子供は産めない。それでも私は、母みたいな人になりたかった。深い慈愛を持って一生懸命になれる人に。だから私は、声優を志すことにしたんです」
「……キャラクターに、命を吹き込む仕事」
「はい。…高校は、辞めました。知らなかった頃と同じように過ごせるとは思えなかったし、声優の勉強をしたかったから。だから、高校生でも行ける声優の学校に行きました。考えてみたこともなかった職種で覚えることも沢山あって大変だったけど、その度にお母さんだって大変だったって奮起して。お母さんみたいになりたかったから、諦めるなんて選択肢、私にはなかった。」
子供を産みたかった。子供を育てたかった。
声優という仕事ならそれが出来る。そうして、育てた子供を誰かに愛してもらえたなら…これほど幸せなことはない。そうして私は今、その夢を現在進行形で叶えている。
「…初めてお仕事を貰えて、収録をして、動いている我が子を見たとき。本当に、嬉しかった…感動して涙が出ちゃって、周りの人をびっくりさせたくらい。私の子供が好きだって言ってくれたファンに会ったときも感極まって泣いちゃって。おかげで涙脆いなんて言われちゃって…へへ、間違ってはいないんですけどね。」
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茨(プロフ) - フェチさん» フェチさんの文章、すごく読み易くてとても好きです...！花江くんのお話も読ませて頂いておりますが、どちらも素敵なお話で読んでいてすごく楽しい気持ちになります！無理せずフェチさんのペースで更新待ってますね、突然のコメント大変失礼致しました！ (2020年6月1日 20時) (
レス) id: 29dea8a9b5 (このIDを非表示/違反報告)
フェチ(プロフ) - 茨さん» コメントありがとうございます！安元さんお相手の小説少なくて完全に自給自足でしたが気に入ってくださる方いて良かったです…！ (2020年6月1日 20時) (レス) id: 0706dee424 (このIDを非表示/違反報告)
茨(プロフ) - ウワ...めちゃすこでした... (2020年6月1日 20時) (レス) id: 29dea8a9b5 (このIDを非表示/違反報告)
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