起点4 ページ7
その後も会話は続いた。
「学生さんですか？」
「あ、いえ、今年で25になります。」
「そうなんですね！すみません、大学生かなと思ってしまい…」
「いえいえ！よく幼く見えるって言われるので、童顔だと自覚しています」
「若く見えるのは得ですよ」
子供に見られたことを落ち込むべきか喜ぶべきか、少なくとも老けて見えなくて良かった。童顔で良かったと少し思った。
「えっと…」
わたしも歳を聞き返そうとしたが、名前を聞いていなかった。なんと切り出せばいいのかわからず言葉につまる。
「あ、藤原といいます。」
そんなわたしの様子を察したのか、彼から名前を教えてくれた。そんな対応を大人で紳士だと感じた。
「藤原さん…。あっ、わたしはAといいます。」
慌ててわたしも自らを名乗った。
「よろしく、Aさん。」
そう言った藤原さんの声はやっぱり魅力的で、単純に素敵な声だと思った。
よろしくと言われたことで距離が近くなった気がして嬉しかった。
ふわっとやわらかい風が吹いた。
「藤原さんはおいくつですか」
「僕は37です。ちょうど一回り違うね、君からしたらおじさんだ」
そう言って笑った。
また口に手を添えて。やっぱり口は猫みたいだ。
「いやいや、あ、ムロさんも藤原さんと同い年ですよ。」
「ムロさんて、さっきのお店の？」
「はい、あの店の店長です。あそこはムロさんとムロさんの従兄弟とでつくった店なんですよ」
「へぇ、よっぽどコーヒーが好きなんだなぁ」
「はい、コーヒーについて話し出すと日が暮れてしまいます笑」
冗談を言ってお互いに笑った。いつもより心臓が騒がしいことに今更気づいた。
＊
たいした距離ではないのに話しながらゆっくり歩いたせいか、時間は予想以上に経っていた。
目的のお店に着く頃には空はオレンジ色に染まり日中よりも涼しさを感じた。
「ここです、探してたお店」
到着すると、急に彼との別れを感じて心細くなった。寂しいような、名残惜しいような。
「ありがとう。今日はたくさん助けてもらっちゃって本当に助かったよ。」
深々と頭を下げられてしまい、申し訳なくなり思わずわたしも頭を下げる。
「いえ！すごく楽しい時間でした。またお店、来てくださいね」
「もちろん」
「じゃぁ、さようなら」
そう言ってわたしはもう一度頭を下げた。
彼は小さく手を振って、わたしも小さく手を振った。
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らんたろう(プロフ) - まるさん» 知りませんでした！教えて頂きありがとうございます(^^) (2018年10月18日 12時) (
レス) id: 7ab9b5d42a (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作品を作る前にルールをしっかりご確認下さい。オリジナルフラグをちゃんと外して下さい (2018年10月17日 21時) (レス) id: 479cad478a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らんたろう | 作成日時：2016年8月18日 22時
