起点3 ページ6
そろそろ出るかな、と思いホールに出る。
「あっ、ごちそうさまでした。」
顔色が良くなり体調も戻ったようだ。
ホッと安心して、グラスを、さげる。
「グラスおさげします。」
「ありがとうございます。このコーヒー、すごく美味しかったです。香りが良くて、後味もさっぱりしていて…」
柔らかく笑って言った。
するとその言葉を奥で聞いていたのか、ムロさんがさっきよりもにんまりとした顔で裏から出てきた。
「よくおわかりですねお客さん！このコーヒー豆は私が世界中まわってついに出会った素晴らしい豆でね…」
よっぽど嬉しかったのだろう。コーヒーの説明が始まると長い。とにかく語る。わたしはいつも途中で飽きて聞き流してしまうのだが、男の人は真剣にムロさんの話を聞き、質問までしていた。なんていい人なのだろうか。
＊
「またお越しくださいね！」
ムロさんは満足げな笑顔で心からの言葉を彼におくった。
「もちろんです、また来ます。ありがとうございました。ごちそうさまでした。」
彼も心から言っているのだろう。深々と頭を下げてお礼を言った。丁寧な人だなぁ。
「あっ、じゃぁムロさん、わたし道を案内してくるので、少し出ますね。」
当初の責任をやっと果たすため外に出ようとすると、
「あれ、じゃぁそのままあがっていいよ。夜は暇になるし、もうすぐ佑樹も、帰ってくるし。」
ムロさんはわたしに気を使ったのか、なんとも優しい提案をしてくれた。
「いいんですか？」
一応聞き返すと、ムロさんはグッと親指を立て下手くそなウインクをした。こういうところ、可愛いと思う。
「すみません、すぐに着替えてくるのでお待ち頂いてもいいですか？」
確認すると男の人は快くもちろんですと返し、わたしが裏へ入るとまたムロさんと話し始めた。
仲良しだなぁ。
＊
「お待たせしました」
ムロさんにお疲れ様ですと言って男の人と店を出た。
男の人はまた眼鏡と帽子を身に付けた。
隣で見るとよくわかるが、彼は猫背だった。
ますます猫のイメージがつく。
わたしに合わせてくれているのか、2人でゆっくり歩いた。
男の人と2人で歩くなんていつぶりだろうか。
なんだか新鮮だった。
「あの、ここら辺詳しいんですね。」
しばらくの沈黙が続き、破ったのは男の人だった。
「あっ、はい。家からもわりと近いので。」
他愛の無い話だが、なんだか楽しかった。
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らんたろう(プロフ) - まるさん» 知りませんでした！教えて頂きありがとうございます(^^) (2018年10月18日 12時) (
レス) id: 7ab9b5d42a (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作品を作る前にルールをしっかりご確認下さい。オリジナルフラグをちゃんと外して下さい (2018年10月17日 21時) (レス) id: 479cad478a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らんたろう | 作成日時：2016年8月18日 22時
