その距離、7700km 【カリブラ/ジロー】

31話 ページ32

手をつないだまま、目的の場所へ。

本当に金魚が空を飛んでいるように見える。
あちらもこちらも、金魚だらけ。

ライトも赤が多くて、日本のお祭りみたいだ。


貴『綺麗…』

ジロー「な…写真撮らねぇの？」

貴『…なんかジローと離れたくなくて笑』


慣れてきたと思ってたのに、
やっぱりAの一言一言に心を揺さぶられる。



ジロー「…俺、自惚れていいの？」



ここで「好きだ」って言うのが男なのに、
チキって言えなくて、情けないことを言ってしまう。

だけどその言葉は、近くに居た迷子の鳴き声で消される。


Aは、名残惜しそうに俺の手から離れると、
泣いている子供の元へと駆け寄っていった。



そういうところも、好きなんだけど。



無事にその子をお母さんの元へ送って、
また、手をつないで金魚を見る。



貴『帰ろっか！お腹すいちゃった』



Aの一言で、水族館を出る。

すると出口に土産屋があって、
ずっとAがかわいいと言っていた
ペンギンのクリスタルストラップを見つけた。


嫌がられるか、と思ったけど、
色違いのものを2つ買ってピンクの方を渡す。



貴『え、いいの？？』

ジロー「おう。俺は青」

貴『お揃い…嬉しい！』



あーもう俺は、本当に自惚れてもいいですか？

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