その距離、7700km 【カリブラ/ジロー】

30話 ページ31

水族館は以外と広くて、
クラゲコーナーや深海魚コーナー、
小さいサメやカメを触れるコーナーなどを回り、
館内にあるレストランで昼飯を食った。



貴『さ！メインを見に行きますか！』



デザートをさっさと平らげて、
目的であった「空飛ぶ金魚」へと向かう。


しかしさすがメイン、空いてるといえども
人混みでなかなか前に進めない。

俺はでかいから(色々と)なんともないけど、
小さめサイズのAにはなかなかきつそう。

ゆっくり歩いてもいつの間にかいなくなってる。



ジロー「…大丈夫か？」

貴『大丈夫と言いたいところではある』

ジロー「なんやそれ笑 …はぐれるとめんどいから、」



「はぐれるから」ではなく「手を繋ぎたい」
という思いを込めて、Aに手を出した。


きょとんとしているA。



ジロー「…はぐれないで歩くなら別に、」

貴『あ、え、いや違う、違うの』



引っ込めようとした俺の手を慌てて掴む。



貴『う、嬉しいのと恥ずかしいのが…
　 混じっちゃって…嫌とかそんなわけない』



俯いているからあんまり見えないが、
耳まで真っ赤になっている…


嬉しい？嬉しいって言ったか？



ジロー「…ねぇこっち向いてよ」

貴『や、やだ』

ジロー「顔見せろって」

貴『やだって』

ジロー「ねーぇぇAちゃーん」

貴『ちょ、うるさいうるさい笑』

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