残り香 (ページ8)

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5話ページ8

其れからは淡々と事は進んだ、俺は兄の「情け」で生かされた。
「捕虜」として我々国へと連れていかれたのだ。
そこから書記長に会い、俺は地下牢へ連れていかれた。

Zm「地下牢はやめてや！」

Tn「ゾム…そうはいかへんのや…」

兄は何かをほざいているが…俺は1人でここに居る絶望に襲われていた…ミカゲはこの国の幹部に殺されたんだ。
そんな場所に居るなんて屈辱すぎる。

『地下牢でも連れてけ…お前らと居る方が嫌だ』

Tn「お前…口に気をつけろや」

書記長に睨まれたが知るか。
俺はお前らに媚び売るなんて、死んだ方がマシだ。

『知るか…このクソ豚野郎』

その瞬間、頬に伝わる鋭い痛み…書記長に殴られた。
兄が止めて居たが俺は手錠が付けられた腕を使い殴ろうかと思った…が次の瞬間には冷たい物が首に当たった。

Ht「あまり……変な事をしないように……ね？」

『ﾁｯ……』

此処は敵国の中心部……変な事をすれば即首が消えるだろう。
俺は振り上げかけた腕を下ろし必死に耐えた。
負けてしまっては人権などは存在しない。

俺は騒ぐ兄を無視して書記長と白い服の奴に地下牢へと入れられた…質素なベットが1つあるだけの地下牢。

Tn「明日から拷問や」

それだけ伝えられ、硬そうなパンと水だけを与えられる。
だが其れを無視してベットに寝転がった。
ベットと言っても敷布団も掛け布団も無いのだ。

目を閉じて思い出すのはミカゲの最後。
思い出すだけで涙が溢れた。

(こんなになっても…俺は泣けるのか)

心は殺したと思ってたが…まだ心はあったらしい。
声を堪えて泣きながらその日は眠った。