《神聖剣》２ ページ18
意味が解らない。
赤い瞳は、この世界で私だけだ。
銀髪は現実世界でも多少は合ってるけど、赤い瞳なんて全く違うのに。
ゲーム開始初日から、どうして私だけがそのままのアバターだったんだろう、って不思議だった。
赤い瞳が殺人者の色となってしまえば、この世界は崩れる。
やっぱり意味が解らない。
けど、冷えてきた私の脳内には、その言葉が嫌な程に響いた。
…私は間違ったこと――《殺人》に、剣を使ってしまったんだ。
いつも裏切らずに一緒にいてくてた、《バスク・ソード》と。
変わらない態度で接してくれた、あのプレイヤー達を。
…裏切った。
無性に悲しくなってきて、冷たい雫が目尻に溜まる。
今ここで泣いたらおしまいだ。
「沙耶君。君は、《超えられる奴なんて居ない》と言った」
「…はい」
「それも、間違っている」
意外な答えに、私は思わず顔を上げた。
茅場先生は、変わらずに続ける。
「一人だけ、居るのだよ。かなり無茶苦茶なやり口だとは思うが…。私が予想もつかないようなプレイをする、プレイヤーが」
「一人だけ…？」
「ああ。きっとこの先も、そのプレイヤーが脱出の鍵を握ることになるだろうと考えている」
茅場先生が認めて、面白がってさえいる。
そんなプレイヤーが、アインクラッドの中に一人だけいる…？
…『あいつ』かもしれないな。
なんて、ちょっとだけ思った。
私は自嘲気味に笑み、立ち上がる。
茅場先生の方を向いて、ぺこりと頭を下げる。
「では、失礼します。――次は、貴方を倒す。絶対に」
「それは楽しみにしているよ、A君。次の攻略会議にも、出席を願う」
いや〜、変なクエストとかに引っかかっちゃわない限りは、多分、ＯＫかな…？
私はもう一度礼をすると、出口に歩き出した。
白い螺旋階段を駆け足で降りる。
石畳を抜け、街を抜け、転移広場を抜け。
私は全速力で走った。
ひと気がない館オブジェクトの裏に回り込む。
案の定行き止まりの一番奥で、息を整える。
―そっとウインドウを操作して、再び《バスク・ソード》を出現させた。
それは素直に私の手中に収まる。
変わらない綺麗な夕焼け色の輝きが、そこにあった。
「ごめんね…」
剣の刃を指でなぞる。
「ごめんね…ごめんね………！」
決して違えないと誓った、約束。
それを裏切ってしまった罪悪感に押しつぶされながら、紅い瞳の少女はただ、「ごめんね」と繰り返していた……――――。
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作者 - パスワードを忘れて編集できなくなった作者です！注意書き(ネタバレ込)を失礼します。この作品は最終的にキリトくんと夢主は友情、最高の相棒エンドとなり、主人公とキリトくんは恋愛的には結ばれません。ご了承できる方のみこの先もお楽しみください！ (2022年12月4日 21時) (
レス) id: e3bb314ceb (このIDを非表示/違反報告)
作者：ユキ - ↓ミスタッチしました。すみません！ 《旋風４》のコメント欄にて、続編企画のリクエストなど常時受付中でございます！ (2017年4月19日 20時) (レス) id: 18dde9c14f (このIDを非表示/違反報告)
作者：ユキ - 《旋風４ (2017年4月19日 20時) (レス) id: 18dde9c14f (このIDを非表示/違反報告)
作者：ユキ - この度、《夕闇の旋風》が完結いたしました！読者の皆さん、ありがとうございました！ (2017年4月19日 20時) (レス) id: 18dde9c14f (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - 多分、外れたと思います！しぇるふぃあ。さん、ご指摘ありがとうございましたm(_ _)m (2016年10月30日 2時) (レス) id: 18dde9c14f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユキ | 作成日時：2016年6月29日 22時
