檸檬と夜叉−5 ページ20
後方車両。
夜叉白雪の渾身の力で切り付けられた刀は、虎化した中島の腕によって抑えられた。渾身の切りさえもを止める、強力な腕。
何故か中島自身も驚き、サマになっていない。
『中島氏・・・・・・ふぅ、無事ですな』
「Aさん!」
『三十五人殺し・・・で合ってそうですな』
夜叉白雪のき攻撃をかい潜った中島の腕が、携帯電話を構える境花の首に回った。爆弾は何処か尋ねるも、境花が答えるのは一番最初に殺した家族。
『っまさか・・・!!』
Aの言葉とほぼ同時のタイミングで、境花は自身の着物の胸元をさらけ出す。そこには、今もピッ、ピッという無慈悲な音が響く爆弾が装着させられていた。
中島が境花を説得しようとするものの、彼女は口を横一文字に結んで答えない。Aから見えた彼女の目は、今にも泣き出しそうな濁ってしまった群青の目だった。
「此方車掌室、敦。まだ生きてっかい?」
『与謝野氏』
「こっちのヘボ爆弾魔によると、そっちの爆弾は遠隔点火式らしい」
与謝野が梶井から聞き出した情報によると、境花に取り付けられた遠隔点火式爆弾は、間違った方法で解除しようとするとものの数秒で爆破してしまうらしい。
梶井はその解除スイッチを持っていなかったらしく、そっちのマフィア。つまり境花が持っているだろうと言った。
『(・・・・・・待って、おかしくない?)』
ポートマフィアは念の為と思って彼女に爆弾を取り付けた筈。では何故、自分達の目の行き届かない場所で外されるようなリスクを冒して解除スイッチを渡したのだ?
Aの中に、最悪の答えが導かれる。
『中島氏、それを押さないで!』
「えっ?」
中島は既に解除ボタンを押してしまった。
Aの顔に冷や汗が流れるのと同時に、境花の胸元の爆弾がピ、ピ、ピ、と鳴り出した。
Aの予想した最悪が、当たってしまったのだ。
もし、それが解除スイッチで無いとしたら。
もし、ポートマフィアを抜け、情報を漏らされてしまったら。だからこそ解除スイッチと偽って、起爆スイッチを渡したのだ。
『しまった・・・!』
車両の扉に寄っていたAは、境花の元に駆け寄る。胸元の爆弾を見るが、解除できないタイプということでは無い。しかし時間がどうにも足りないのだ。
「間に合わない!!」
その時、Aの視界は斜めになった。
317人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
響輝@ロングスリーパー(プロフ) - か、完結…!?!?更新お願いしたいです!!!あ、勿論無理ない程度で。。。外の作品も素敵です!頑張ってください! (2022年1月14日 21時) (レス) @page44 id: d6b5ec7764 (このIDを非表示/違反報告)
(´・ω・`) - 安心してください。。私もイデア氏にしか見えないです。(白目) (2021年12月27日 15時) (レス) @page36 id: 46b862f725 (このIDを非表示/違反報告)
怜 - 夢主ちゃんがイデアくんだとしか思えない私は末期() (2021年11月23日 13時) (レス) @page14 id: a2bd06fd1d (このIDを非表示/違反報告)
甘党 - 楽しみに待ってるので頑張ってください! (2021年10月25日 21時) (レス) @page44 id: 577366e2a2 (このIDを非表示/違反報告)
蓮蜜 - この作品は本当に面白いです!これからも頑張って下さい! (2021年10月23日 11時) (レス) id: a6fc2eacdc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Kaoru | 作成日時:2021年9月22日 23時